コロナ自粛の中で子供たちは休園に休校、そんな中でもやらねばならない仕事……。この状態をなんとか過ごしている全国のパパ・ママ達、たくさんいると思います。本当にお疲れ様です!

こんな感じのご家庭、多いのではないでしょうか。(イラスト:みやけ)

そんな状況もあって、最近「オンライン商談」「オンライン飲み」、様々なオンライン○○を聞く機会が多くなりましたが……

「オンライン親子運動会」って、知ってますか?

オンライン親子運動会とは

運動会って通常外でやるものでは? おうちで運動会が、さらに親子でできちゃうの? そんな疑問が出てきますが……

日本初!全国どこからでも参加できちゃう!オンライン運動会

こちらのオンライン運動会が親子向けに実際に開催され、大盛況だったとのこと。なんと参加人数は総勢300組!  一体どんな様子だったんでしょう?  SPOT編集部は今回、このイベントを開催した会田さんと大塚さんにお話をお伺いすることができました。

左:会田さん 右:大塚さん

プロフィール

会田夏帆 
日本乳幼児遊び教育協会 代表
ぐちゃぐちゃ遊びの親子教室ぐちゃラボ 主宰
横浜市都筑区で親子・幼児教室ぐちゃラボを開業して5年目。
7歳と8歳の小学生兄妹の子育て中。

大塚織恵
知り合いゼロの横浜市都筑区に越してきて9年目。イベント運営が好き。
昨年、子育てをともに楽しんでたメンバーと『親子サークルBitterPenguins(ビタペン)』設立。
2歳と4歳の男の子の子育て奮闘中。

早速ですが、今回のオンライン運動会について詳細を教えてください!

オンライン親子運動会では玉入れに綱引き、借り物競争などを競技としてお家でやりました。

ほー……完全に運動会ですね。それを家の中で、zoom(※ビデオ通話サービス) を使ってリモート開催したなんて、ちょっと想像がつかないんですが……。外出がなかなかできず体も動かせない今、おうちで運動できるなんて親御さん的には助かりますね。

はい! 今回は子どもだけではなく親子で楽しめるような運動会として内容を考えました。運動会のあとは『とても楽しかった!またやりたい!』という嬉しい声がたくさん届き、やってよかった! と思いました。

開催に至った経緯・想い

会田さんは昨年、リアルイベントとして運動会をやっていたとのことですが、それをオンラインでの開催に移行することへの抵抗などはなかったんですか?

元々は私がやっている子育てサークルで、コロナ自粛の状況を受けて、zoomを使ったオンラインランチ会を開いてみたんです。そこでもっと楽しいことができないかな?と話し合った時、オンライン運動会を思いつきました。実際に小規模に開催してみたところ、とても楽しかったんですよ。

その話を聞いて、これ大規模にやっても楽しいんじゃないかな? もっと多くの方と開催してみたいな、と思って大塚さんにお声をかけました。もともと大塚さんとは知り合いで絶大な信頼をおいていたので、大塚さんが楽しかったという以上、オンライン運動会は絶対楽しいんだろうと思いまして(笑)なので、特に不安などはありませんでした。

そうなんですね! 知見があったなら心強いですね。そもそもどうやって実行するのかという疑問はこの後で聞くとして、開催に至るまでの想いなど教えてください。

『3密』って言葉が出てきましたよね。そもそも、育児をしている親子って孤独になりがちなんです。普段公園や支援センターとかでなんとなく集まって、接していることが心の支えになっていたりします。

もちろんお子さんとの時間も大切ですが、外で別の家族と会話することもいい気分転換にはなりますよね。

でも、外出自粛によってそれが禁止されてしまいいました。小さい子とおうちだけで過ごすのは実はかなり大変なんです!! なら、普段は体験できないおうちならではの楽しいイベントをやっちゃおう! ということで、オンライン運動会を開催するに至りました。

なるほど! お子さん達もずっと家の中だと不安な気持ちになりますよね。

私には2歳と4歳の子どもがいますが、子供たちもこの状況をわかっているように感じます。特に保育園や幼稚園など、どこかに属していた子たちはいきなり行くことができなくなったので、不安を感じているはずです。そして、親達も先が見えないストレスが日々積み重なって不安な気持ちを抱えています。

そこにおうちで親子で楽しめるイベントがある!  ってなったら参加したいですよね!

だれにとってもですが、小さいお子さんがいる保護者の方にとってこの状況はとても大変だと思います。遊びたい盛りの子どもがいるのに外に出ることもなかなかできないし、いつまでこの状況が続くかもわからない。そんな中でみんな必死で頑張っている。でも、おうちにいるとなかなかその頑張ってることが自覚しにくいんですね。

自覚しにくい、というのは?

子どもが外に行きたいと泣いていたのに行けなかったなど、できなかったことばかりに思えてしまう。だから今回のイベントでは保護者の方にも「毎日、頑張ってますね」というメッセージを伝えたいな、と思いました。そのメッセージも含めて、親子みんなが笑顔になるイベントにしたかったんです。

親御さん視点でも企画されていたとは……実際に子育てされているお二人だからこそ出来たイベントだったんですね。

イベント当日の様子

イベント当日の様子

当日は100組が参加する40分の運動会を2回、合計200組での大規模な開催だったとのことですが、どんなスケジュールで進行していったんですか?

まずはツールとしてはzoomを使いました。そもそもビタペンさんで行ったのが無料で使える40分の範囲内でしたので、その流れから概ねその時間内でできるように企画しましたね。対象は0〜5歳くらいの子どもを持つご家庭です。ご兄弟と一緒に参加してくださった方もたくさんいました!

一体全部で何人参加したんだろう…!

ちなみにこれがプログラムです。

当日のプログラム

すごい。めちゃくちゃ盛り沢山じゃないですか。表彰式まで!

特に借り物競走は盛り上がりましたね! 何回かお題を分けてやりました。

借り物とは、具体的にどんな……?

『黄色いもの』『好きなもの』などお題を出して、お家にあるものの中から取ってきてもらうんです。好きなものは自由ですが、ぬいぐるみだったりプラレールだったり。

借り物競走の様子

そしてここで、お子さんだけでなく親御さんたちにも好きなものを持ってきてもらうんです。

『画面に出せるものでお願いしま〜す!』っていうのはお願いして、コーヒーだったり入浴剤だったり、ビールを持ってきた方も多かったです。そして『あ、同じだね〜(笑)』って画面越しに見てもらうんですよね。

それめっちゃ良いですね…!  そういった形で親も参加できるのはすっごく楽しそうです。一体感ありそう!

「黄色いもの」の借り物競走は画面一面が黄色に

子供たちは画面越しにもコミュニケーション取れたりするんでしょうか?

子ども同士でコミュニケーションをとるのは人数が多いこともあり難しいのですが、私たちと子どもたちとのコミュニケーションは大切にしました。

一方通行ばかりにならないようには意識しましたね。オンライン幼稚園や、大人向けのオンライン教室などをみて勉強しました。開催中は積極的に名前を呼ぶんです。『りゅうくん、赤いもの持ってきてくれたんだね〜!』なんて声かけをすると、すごく喜んでくれるんですよ。

そうそう、なので画面にはこちらがわかるように事前に呼び名を設定してもらったりして。

100組の中から選んで声がけ…!

はい!ずっと必死で進行してました!(笑)

司会は大塚さん、私は裏方に徹して、ミュートなどを繰り返してましたね。

お二人の連携プレイのなせる技だったんですね!

そして最後に日々頑張ってる保護者の方にむけてささやかながらメッセージを送りました。こんな状況の中で、みんな頑張っているよ、お疲れ様!ということをどうしても伝えたくて。

この最後のメッセージなんですが、参加した方々の中でもすごく印象に残ったって感想が多かったですね。おうちでずっと子どもたちと過ごしていて、このままで良いのかな? と不安に感じてしまうご家族も多いと思うんですが、こうやって周りの人から言われると認めてもらえた感じがするのかな。想像すると私も泣けてきてしまいます……。

イベントをするときに自分が何を伝えたいのか? どんなことを大切にしているのか? を必ず考えます。そのとき、今回の自粛期間に行うオンライン運動会では保護者の方へのへのメッセージは外せませんでした。運動会というと子ども向けのイベントになりがちですが、子どもたちだけが楽しい!という時間ではなく、いつの日かこの自粛期間のことを思い出したときに保護者の方にとってもちょっとでも楽しい思い出として残したいな、と思いました。

騒音対策や、ペース配分にもこだわりが!

競技などはどのようにして考えたんですか?

マンションに住んでいる方などのことも考えて、例えば玉入れは、タオルを丸めてボール代わりにすることで、なるべく騒音が出ないようにしました。それで、ママ・パパたちにはバスタオルを広げてもらって、そこにこの丸めたタオルを投げ入れるんです。

玉入れの玉はタオルを丸めたもの

タオルならどの家庭にもあるし、用意しやすいですね!

綱引きは相手を動かした方が勝ち!動いたら負け!というルールに変更しました。通常通りにやるとスペースも使っちゃうけど、これならドタバタすることもなくので。

綱引きは玉入れの時に使用したバスタオルで

なるほど! 工夫がすごい……後は気をつけたところなどはありますか?

なんにせよ参加人数が多いので、一体感を意識した声がけをずっとしてました。子どもたちは、ちょっとでも間があるとすぐ飽きちゃうんです。(笑) だから、こちらからずっと指示を出し続けます。あとは競技自体の長さも考えて、綱引きを1分とかじゃなく敢えて10秒とかにするんです。すると、本当に集中してくれる! リズムを大切にしました。

オンライン特有の『間』を作らないことは企画の段階から意識しました。ここに関しては大塚さんの進行力が素晴らしかったです。

なるほど。企画する側としても勉強になるポイントです……!

細かいルールは会田さんにお願いして、どんどんプログラムを詰めていきましたね。あとは何より私の子供たちというモニターがおりますので、実際に楽しめるかどうかは試してみたりしました。 毎日が運動会のようなものなので!

誰よりも強力なモニターですね!

オンラインにはオンラインの良さが

300組という人数はどうやって集めたんでしょうか?

もともと運用していたメルマガやLINE、インスタなどで告知をしました。多くの方が興味を持って下さり、さらにクチコミで広げてくださった方もいて、あっという間に初日200組が満席になりました。大変好評で、もう1回やってくれませんか?のお問い合わせも多数届きましたので第2回に100組追加で募集して、翌日には満席になりました。

その人数がすぐ埋まるって凄すぎる。それくらい、オンライン運動会が魅力的に感じられたご家庭がたくさんあったんですね。

そもそもzoomって何? っていうご家庭もたくさんあったんですが、事前に準備をしていただくことで無事に成功することができました。今回のイベントを経て、完全にオンラインへの敷居は低くなって、今後のイベントを考える時も導入しやすくなったのかなと感じています。

なるほど。オンラインならではの魅力なんかもありますもんね。

オンラインだと立地や天気、体調などを気にせず参加できるのはやっぱり良いですよね。ママが妊娠中だったり、兄弟が居るのでなかなか簡単に外出できないなどは良く聞きますし、実際、兄弟のどちらかがお熱で寝込んでいても、おうちの中なのでもう一人だけ参加するなんてご家庭もいました!」

確かに、おうちの中なので、途中ちょっと退席しても周りを気にしなくても大丈夫ですもんね!

オンラインには良いところがたくさんあります。 真夏で外に出られない時期もオンラインでなにかできないかと考えています。でも、乳幼児期はオンラインだけではなく人との直接コミュニケーション、オフラインでのかかわりも大切なので、今後もオンラインならではの良いところ、そしてオフラインの良いところ両方をうまく組み合わせて使えたら保護者の方にとっても子どもたちにとっても良いと思っています。

気持ちに余裕ができた時にだけ、気軽に参加してみてください。

最後に、読者さんや子育て家庭に伝えたいことなどはありますか?

企画した立場で言うことではないと思うんですが、これだけは言っておきたくて。必ずしも『イベントに参加しなきゃ!』とは思わないで欲しいんです。

と言いますと……?

このような事態の中、みんな毎日とても頑張って生きています。親子共に生きてるだけで100点満点なんです。行かなきゃいけない! いろんなイベントに参加しなきゃ! とは思わないでほしいな、と。まず自分にも子どもにもどんな日でも100点花丸をつけてほしいです。そして、もうちょっと楽しいことがやりたいな、と思ったときだけゆるっと参加してもらえたらなと。決してイベントは行かなきゃいけないとは思わないでほしいです。

子どもたちに我慢させて申し訳ないって思ってしまっている家庭、結構あると思うんですけど、ただそこで暮らせているってだけですごいことなんですね。

子育ても知り合いがいると心強いですよね。私のサークルは実家が遠方だったり転勤族のママの参加も多くて。とりあえずママ友っていうよりも、顔見知りを増やしてもらえれば、0歳の時になんとなく知り合ったお母さんと、幼稚園や習い事でまた再会して仲良くなったりする、そんな気楽なゆるいつながりみたいな感覚で、孤独感を少しでも減らすお手伝いができればなと考えています。

まとめ

オンラインイベントが支流になってきたとはいえ、ここまで大胆で大規模なイベントを企画し、成功をさせた裏には、親御さんの大変さを少しでも軽減したいというお二人の強い想いがありました。外出自粛で塞ぎがちになっている親御さんは、会田さんや大塚さんの活動を覗いてみてはいかがでしょうか?

今後のオンライン親子運動会開催に関しては、会田さんの「ぐちゃぐちゃ遊びの親子教室」にて小規模で開催する予定です。他にも色々なイベントや教室を企画されているので、気になった方はぜひ下記のURLから情報をチェックしてみてください。

会田さんが代表を務める「ぐちゃラボ
0-3才と保護者のための習い事ぐちゃぐちゃ遊びの親子教室 ぐちゃラボ親子クラス
会田さんのYoutubeチャンネル「子育ての参考書」
公式LINE
公式Instagram

大塚さんの育児サークル「BitterPenguins(ビタペン)」
公式LINE

イラスト、執筆:みやけ

緊急事態宣言が明けてもまだまだ気が抜けない状況ですが、早く元どおりの生活に戻れることを祈って、子育てママ・パパ達、なんとか日々を踏ん張って過ごしましょう〜〜!!