熊本県

黒川温泉

黒川温泉は熊本県阿蘇のさらに奥地にある温泉街です。露天風呂巡りが楽しめる入湯手形が名物。「黒川温泉一旅館」という考えの下、季節ごとに移ろう里山の風景と30軒の旅館が調和しています。

まるで街全体が1つの温泉旅館!阿蘇の奥地「黒川温泉」へ行ってみた

黒川温泉は温泉旅館と自然の調和を味わえる温泉街でした。


熊本空港から車で1時間20分。

黒川温泉は熊本県阿蘇のさらに奥地にある温泉街です。

露天風呂に入ったり、

入湯手形を奉納したり、

レンタル浴衣で街歩きすることもできるんです!

そんな黒川温泉の魅力を、音成(オトナリ)さんに教えてもらいました!

黒川温泉発祥の地・地蔵堂

黒川温泉の特徴を教えてください。

黒川温泉は30軒の旅館が集まった温泉街です。30軒の宿と里山の風景など温泉街全体としての魅力を感じてもらいたく、その思いを「黒川温泉一旅館」という言葉に込めています。

黒川温泉一旅館、いい言葉ですね。つまり、温泉街全体を1つの旅館と捉えているわけですね。

そういった意味で重要な場所がここ、地蔵堂です。黒川温泉発祥の地と言われています。

発祥の地?どうしてでしょうか?

昔、貧しい若者が瓜畑から瓜を盗みました。地主に見つかり、首をはねられたと思ったらお地蔵様が身代わりになったのです。その後、お地蔵様の首をまつろうとしていたところ、黒川でお地蔵様が「ここに安置してくれ」と声をかけたということです。そこで黒川にお堂を建てたら、ある日、温泉が湧き出るようになったと伝えられています。

そんな歴史があるとは・・・。これは絵馬ですか?

これは入湯手形です。地蔵堂は入湯手形を奉納する場所にもなっています。

地蔵堂の前には地蔵湯があるんですよね。

地蔵湯は先ほどお話しした、黒川で最初に温泉が湧き出した湯です。地蔵湯に入ると怪我が癒えると言われており、今でも遠方からたくさんの方がいらっしゃいます。

本当に自然豊かな温泉街ですね。熊本県内から来る方が多いんでしょうか?

福岡方面から来る方が一番多い印象です。福岡空港から2時間、博多駅からは2時間半ほどで来れるので、九州外からのお越しになる方にとってはアクセスがいいのでしょう。

温泉街を歩くだけでも、日常を忘れてリラックスできそうです。

黒川温泉は緑豊かな山々に囲まれていて、季節ごとに表情を変える街並みも魅力の1つです。

たくさん旅館があって特徴も多様だとは思うのですが、たとえばこちらの新明館はどのような旅館なのでしょうか?

こちらは手掘りの洞窟風呂がある旅館として特徴的ですね。

300年の歴史を誇る御客屋

ほんとにたくさん旅館があって、どこに泊まるか迷っちゃいますね。

確かに選ぶのは難しいですね。先程のようにリクエストがあればご案内しますよ。

それでは、黒川温泉の中で最も古い旅館をご案内いただきたいです!

黒川温泉の中で最も古い旅館はこちらです。

享保7年創業と書いてありますが、享保7年って江戸時代ですかね?

そうです。御客屋は1722年創業、約300年の歴史があります。

300年も続いているってすごいですね。

はじまりは肥後を統治していた細川藩主の命で建てられたそうです。

創業当時は、参勤交代の一行や奉行の役人らが立ち寄ったと言われています。

そうなると女将さんは一体何代目なんですか?

わたしは江戸時代の創業から数えると、17代目です。

17代目!すごい!

御客屋は創業当初から「半農半宿」としてやってきましたんです。

半分は農家で半分は宿ってことですか?

そうなんです。自家農園を営んでいて、お客様がいらしたときに旅館業をやるという形式をとっていました。

面白いですね。そろそろ温泉に浸りたい・・・。

まずは露天風呂にご案内しますね。

代官の湯。広いですね。

お風呂はすべて源泉掛け流しです。大人10人が入っても余裕がある開放感を味わっていただきたいです。

黒川温泉名物 入湯手形で露天風呂巡り

貸切風呂もあるんですね。予約制ですか?

予約は必要なく、空いていれば自由にお入りいただけます。

家族だけで入れるのもいいですよね。

十分なスペースの脱衣所もあるので、小さなお子様がいても安心してお入りいただけますよ。

ところで、音成さん、入湯手形ってどのように使えるんでしょうか?

入湯手形は1300円で購入でき、お好きな温泉を3軒回れるんです。たくさんの温泉が集まっている黒川温泉ならではの名物です。

入湯手形は間違いなく、買いですね。

さらに旅館、店舗によっては入湯手形を提示すると特典がもらえることもあります。黒川温泉にお越しの際は入湯手形を買うことをおすすめします。

温泉巡りの合間は白玉専門店やケーキ屋で糖分補給

温泉入るのもいいですが、街の散策も楽しいですよね。

いくつかお店を巡ってみましょう。

甘味茶屋!温泉巡りの休憩によさそう。

そうなんです。ここは本格的な白玉専門店なんですよ。

白玉専門店!たまらないですね。

人気メニュー「湯上り白玉」を湯上がりに食べるのがおすすめです。入浴は思っている以上にカロリーを消費するので、空腹時は低血糖になりやすいんです。入浴前後の糖分補給は理にかなっています。

引き続き、スイーツ巡りですかね。ここは?

「パティスリー麓」というケーキ屋さんです。

温泉街にこんなおしゃれなケーキ屋さんがあったら、入ってしまいますよね。

特に人気なのがシュークリームです。

絶対美味しいやつじゃないですか。よだれが・・・。

黒川温泉に来たら、シュークリームを食べるのを忘れないでくださいね!

お土産屋さんも気になりますね。

それでは後藤酒店に入ってみましょう。

酒屋さんですか?

お酒以外にお土産も豊富ですし、コンビニのような役割も果たしています。

そういえば、この辺りってコンビニはあるんですか?

最寄りのコンビニは車で15分くらいかかるんですよね。なので、コンビニの役割も果たすありがたいお店です。

酒店というだけあって、お酒もたくさんありますね。

地酒、地ビールも販売していますよ。

試飲もできるのはうれしい。

ぜひ飲み比べて、お気に入りのお酒を見つけてほしいです。

レンタル浴衣で散策が楽しめる

温泉街を浴衣で歩くという体験もいいですよね。憧れている方もいると思います。

浴衣での街めぐりは本当におすすめです。各旅館でも用意していますし、黒川温泉観光協会でのレンタルもできます。

日帰りのひとでも温泉気分が味わえますね。

下駄もセットになっています。手ぶらで来ていただいてかまいません。

急な坂ですね・・・。

こちらは「いご坂」という坂です。

写真に映えますね!浴衣の街歩きと相性が良さそうです。

そうですね、みなさんよくいご坂で写真を撮られていますよ。

他にもいくつか坂がありましたよね!

黒川温泉には、わらべ坂・柿の木坂・いご坂・べっちん坂という4本の坂道があります。

べっちん坂ってなんだか可愛い名前です。

昔、坂を歩いていた牛馬の糞がよく落ちていたためべっちん坂という名前になりました。

昔の情景がその土地の言葉で地名として残っているのは素敵ですね。

黒川温泉は忙しい人こそ行くべきゆったりした時間で癒される空間でした

黒川温泉は日常を忘れ、ゆったりとした時間を過ごせる温泉街です。

入湯手形で露天風呂巡りをしたり、山や川の自然を感じたり、浴衣を来て街散策を楽しんだり。

ひとりになって自分と向き合いたいとき、大切なひとと時間を過ごしたいときに行きたくなるような場所でした。

日々、忙しく過ごされている方にこそ、ぜひお越しいただきたいです。黒川温泉が誇る湯と自然に身を委ねてみてください。

黒川温泉のスポット情報

営業時間

9:00〜18:00

※黒川温泉観光旅館協同組合インフォメーションセンターの営業時間です

 

料金

※宿泊、入浴料金は各施設により異なります

 

アクセス:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺

・車

熊本ICよりミルクロード(県道339号線)を経由し約1時間30分

 

・電車 / バス

熊本駅→[豊肥本線40分]→肥後大津駅→[やまびこ号53分]→阿蘇駅→[産交バス杖立線53分]→南小国町役場前→[タクシー10分]→黒川温泉

 

・バス

熊本駅→[九州横断バス約3時間]→黒川温泉

取材・執筆:KOH