長崎県

長崎県美術館

外光に満ちたエントランス、心地よい風が通り抜ける回廊、水面を臨むカフェ、緑に揺れる屋上庭園、時の移ろい、四季のめぐりとともにその表情を豊かに変える長崎県美術館の空間は、訪れる人々に新しい発見と創造の喜びを提供します。

長崎県美術館に行ってみた!四季のめぐりとともに表情を変える場所

長崎県美術館は館内のどこからでも運河を臨むことができ、街・自然・歴史が調和する空間でした。



出島電停から徒歩3分。

長崎県美術館は、「呼吸する美術館」をコンセプトに2005年4月に開館しました。

四季のめぐりとともにその表情を豊かに変える設計も見どころのひとつである長崎県美術館では、

スペイン美術を鑑賞したり、

地元の作家の作品や、昔の長崎を描いた作品の数々を鑑賞したり、

運河の水面を臨むカフェで憩いのひとときをすごしたり、

美術館ならではの、個性豊かなグッズを買うこともできるんです!

そんな長崎県美術館の魅力を、広報の山下さんに教えてもらいました!

天井高が12mのエントランスロビー

エントランスロビーからすごくかっこいいですね!

こちらのエントランスロビーは天井高が12mありまして、地元の大学で音楽を学ぶ生徒さんや、先生たちによるコンサート「イブニングライブ」を定期的に行っています。

音楽ライブも催されるんですね!すごく雰囲気がよさそうです・・・!!!

こちらはエントランスロビーと同じ空間にある情報コーナーです。

いろいろな書籍が並んでますね。書籍のラインナップに特徴やコンセプトはあるのでしょうか?

こちらでは主に展覧会の予習復習に有用な書籍を取り揃えています。その他、最新の美術雑誌や絵本も閲覧できます。

知識をもって鑑賞すると、また作品を捉えかたも違いますよね!

県民ギャラリーでは多様な展覧会が行われておりまして、現在は地元の小学校の作品を展示しています。
※この展示は現在終了しています。

イブニングライブもそうですが、地域との距離が近くてとても身近に感じれる美術館ですね。

「須磨コレクション」を核とするスペイン美術のコレクション

お次にご案内するこちらはスペイン美術を展示した須磨コレクションの展示室です。

長崎といえば過去にオランダとの交流が盛んなイメージがありますが、なぜまたスペイン美術なのでしょうか?

こちらは須磨彌吉郎(1892-1970)が第二次世界大戦中に特命全権公使として赴任したスペインで蒐集した美術コレクションなんです。

その一部を紹介する展覧会「スペイン美術巨匠展」が1969年から翌年にかけて開催され、最後の会場が長崎だったことが当館で収蔵するきっかけの一つとなっています。

点数もなかなかボリュームがあって見応え満点ですね!

ピカソやダリなど、みなさんがよく知っている作家の作品の展示もあります。

常設展示室には全部で5つの部屋があり、年数回展示替えをしながら所蔵作品を紹介しています。現在(取材時)第4室では、戦前・戦後を通じて長崎で活躍した木版画家、田川憲(1906-1967)による古きよき長崎の風景を残した版画を展示しています。
※この展示は終了しています。

多様な企画が開催される企画展示

続いては企画展の参考に、現在(取材時)開催中の展示をご紹介します。

今回はどのような展示なのでしょうか?

新型コロナウィルスの影響で展示品の移動が難しくなって泣く泣く中止となった展示がありまして、その代わりにこの企画展では長崎県美術館の所蔵品を惜しみなく展示に出したレアな企画なんです。

長崎にゆかりのある作品の数々を展示しており、戦後60年代半ばまで海外旅行ができず、多くの作家が異国情緒豊かな長崎を訪れた当時の様子を描いた作品などがあります。

こちらは長崎の風景を描いたものの中でも希少な作品なんです。戦時中の長崎港は軍艦の造船が盛んだったのですが、造船している様子そのものが機密情報であるため、測量、撮影、模写ができなかったんです。

そんな時代の長崎港をこっそり描いたことから、希少な作品となっています。

そんな時代背景があるんですね!長崎独特の歴史がとても面白いです。

年間を通して様々な企画展を開催しているので、読者のみなさんにつきましては最新のイベント情報をご確認いただければと思います。

運河をまたいで2つの棟が建つ珍しい建築

それにしても長崎県美術館の建築は美しいですね・・・。やはり有名な建築家の設計だったりするのでしょうか?

そうなんです。現代日本を代表する建築家のひとり、隈 研吾さん(1954-)によるデザインで、運河をまたいで2つの棟が建つ珍しい建築です。

また、美術館のどこからでも運河が見える設計になっているんですよ。

たしかに館内を巡っている中で展示室以外はずっと運河が見えていました!

そんな運河の東西にある両棟にはそれぞれ「開く↔守る」という設計コンセプトがあります。

運河の西側『ギャラリー棟』にはエントランスロビーや県民ギャラリー、ホールやアトリエなど皆さんに気軽にご利用いただける “開く” 機能。

東側の『美術館棟』には事務室や研究室、収蔵庫、企画展示室、常設展示室など、美術館としてオーソドックスな “守る” 機能が集約されています。

長崎県美術館の建築は屋上もまた特徴的なんです。

周りの風景に溶け込んでいて街や自然と調和していますね。

長崎水辺の森公園に隣接する当館は「緑の連続/回遊性」もまた設計コンセプトのひとつで、海側の『ギャラリー棟』より山側の『美術館棟』のほうが少し高くなっていて、山につながっていくように設計されています。

長崎港が見渡せてビュースポットとしても成り立ちますね・・・!!!

美術館の屋上は、花火大会の際に開放したりもしているんです。

世界文化遺産にも登録され、100年以上稼働していている三菱長崎造船所の『ジャイアント・カンチレバークレーン』もここから見えますよ!

こんなにも長崎港の景観を堪能できるこの屋上は、美術館の入館者専用なのでしょうか?

いいえ、美術館に入館しなくても外から入ることができますよ。長崎の町を巡る観光客の方には穴場のビュースポットとしてぜひ気軽にお立ち寄りいただきたいです。

フルーツサンドとオリジナルボトルが映えるカフェ

カフェもまた運河の水面が臨めて、光の差し込みが美しいおすすめのエリアです。

ここたまらないですね・・・どのようなメニューがあるのでしょうか?

テイクアウトとイートインのどちらも選べる角煮ごはんやサンドイッチ、スープなどがあります。
※2020年12月の取材時はコロナ対策として特別メニューで営業しています。

ドリンクはいろんな形のボトルを選ぶことができて、とてもお洒落なんですよ!

どれもビジュアルがめちゃくちゃお洒落ですね。購買欲をそそられまくっています!

取材後、テイクアウトをして長崎港を眺めながらとても美味しくいただきました。大満足!

個性豊かなグッズが並ぶミュージアムショップ

ミュージアムショップの個性豊かなグッズの数々が面白くて仕方がないので、このひとつに絞って読者さんに紹介したいです!

それでは実演でご紹介させていただきますね。こちらの折り鶴の形をした布はメガネ拭きです。

こうして広げると正方形になってメガネを拭けますね。

そんな広げた状態から手の上でポンポンと跳ねさせていると、

戻った!!

自然に折り鶴の形に戻るんです!

ご紹介ありがとうございます!ミュージアムショップはアイディアの宝庫でとてもワクワクします!

長崎県美術館は街・自然・歴史が調和する空間でした

実は、取材に訪れた際、こんなにも大きな長崎県美術館を一度通り過ぎてしまったのです。

その背景には街や自然と調和し、溶け込むことを意識したテーマの影響があり、信じられないかもしれませんがこのような建築物であるにもかかわらず、ほんとに見つけにくいです・・・(笑)

そんな美術館の調和を肌で感じ、美術作品で歴史や地域交流に触れ、長崎県美術館は様々な側面から長崎を構成する一部として完全に溶け込んでいると思いました。

地元の方も県外の方も、展覧会などをきっかけにぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです!

長崎県美術館の施設情報

営業時間

10:00〜20:00(2021年4月1日から)

※展示室への最終入場は閉館の30分前まで

 

休館日

・毎月第2・第4月曜日(休日・祝日の場合は火曜日が休館)

※事業により変更になる場合があります

・年末年始

 

入館料金

無料

※企画展、コレクション展、その他有料展覧会の観覧、カフェの利用等は別途料金が必要です

 

コレクション展観覧料金

一般 大学生 小中高生 シニア
(70歳以上)
個人
(団体料金15名様〜)
420円
(340円)
310円
(250円)
210円
(170円)
310円
(250円)

※県内在住の小・中学生は無料

※学校行事の一環として県内の小・中・高・特別支援学校生が利用する場合は引率の教員を含め無料

団体料金は15名様以上でご利用いただけます

 

アクセス:長崎県長崎市出島町2-1

・車

長崎自動車道・長崎ICよりながさき出島道路経由約5分

 

・電車

JR長崎駅から徒歩15分

長崎駅→[路面電車長崎電軌道1系統5分]→出島電停→長崎県美術館

 

・バス

長崎空港→[リムジンバス長崎空港35分]→長崎新地ターミナル→長崎県美術館

取材・執筆:KOH