ウェスティン都ホテル京都
東山区蹴上にある「ウェスティン都ホテル京都」。創業131年の歴史をもつ老舗ホテルですが、2021年4月にグランドリニューアルが完了し、大変身を遂げました。京都最大級の天然温泉のスパ「華頂」も新設され、じっくりと滞在を楽しみたいホテルに生まれ変わっています。
京都最大級の天然温泉スパも!リニューアルした「ウェスティン都ホテル京都」に泊まってみた
「ウェスティン都ホテル京都」は創業131年の歴史をもつ老舗ホテルですが、2021年4月にグランドリニューアルが完了し、大変身を遂げました。
そこで、実際に宿泊してみた様子をご紹介します。
目次
地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩約2分。閑静な東山の地に堂々と建っているのが「ウェスティン都ホテル京都」です。
130年以上の歴史のなかで、ヘレン・ケラーやアインシュタイン、エリザベス女王、チャップリンなど、世界のセレブや要人も迎え入れてきたホテルです。
2021年4月のグランドリニューアルを経て、施設の魅力が格段にアップし、古くからのファンだけでなく、若年層も「泊まってみたい!」と思うホテルに生まれ変わりました。
その一方で、ゲストのニーズを読んだあたたかいおもてなしなど、変わらずに受け継がれているものもあります。
1890年創業の「吉水園」にはじまり、1900年開業の「都ホテル」を前身としているだけに「ミヤコホテル」の文字が歴史を感じさせますよね。
玄関前に到着すると、ドアスタッフが丁重にお出迎え。館内に入る前から、歴史あるラグジュアリーホテルのおもてなしを体験できます。
到着早々、途切れることのない「おもてなし」
エントランスをくぐったら、そこは開放的な吹き抜け空間が広がるロビー。古都の情緒を漂わせる調度品に彩られながら、ゴタゴタとした感じが一切なく、すっきりとしていることからも、「周囲の自然との調和」や「くつろぎ感」を大切にしていることが伝わってきます。
それに加え、館内に入った瞬間に身体全体を優しく包んでくれる香りも印象的。ウェスティンブランドで統一されているホワイトティーの香りだそうで、ホワイトティー(白茶)や花々、ウッドなどを調和させた香りは、どこかエキゾチックかつエレガントで、一度体験すると忘れられなくなります。
ロビーの美しさとホワイトティーの香りに魅了されているあいだも、スタッフによるおもてなしは途切れません。
ドアスタッフとベルスタッフ、レセプションスタッフの連携が見事。「お客様を一瞬たりとも不安にさせない」「サービスを途切れさせない」という気概が伝わってきて、のっけから「さすが!」と感動してしまいました。
施設がリニューアルしても、100年以上受け継がれてきたおもてなしの心は不変のようです。
全客室がデラックス以上!
「ウェスティン都ホテル京都」は京都有数の大型ホテルですが、今回のグランドリニューアルで客室数は減少。
どういうことかというと、客室数を減らすかわりに1部屋あたりの面積を拡大し、全客室が38平米以上のデラックス以上のグレードになったのです。
客室数を減らしてまで特別感や快適性を追求したところに、今回のリニューアルにかける本気度がうかがえますね。
今回宿泊したのは、デラックス平安京ビューの客室。ワクワク・ドキドキしながらお部屋に入ると、客室内はすべてが真新しくピッカピカ。しかも広い!やっぱりお部屋が広いって、気持ちにまでゆとりが出て最高ですよね。
さらに、お部屋の窓からは古都を一望におさめる景色が広がっています。バルコニーに出ると、平安神宮の鳥居まで見えました。
京都にはなかなか高い建物が少ないですが、ホテルの建物自体がやや高いところにあるので、美しい眺望が楽しめるんですね。地元のお客さんでも、この景色に喜ぶ人は多いそうです。
リニューアル後の客室は、広さだけでなくデザイン性も特徴的。
日本を代表する建築家・村野藤吾氏が設計を手がけたことにちなみ、今回のリニューアルにも村野氏のデザインの象徴である柔らかな曲線美が随所に取り入れられているのです。
ミラーも、ドレッサーの台もイスも、クローゼットもテーブルも、すべてが曲線。こうして優雅な曲線美に触れていると、気持ちまで優しくなってくるから不思議です。
この曲線は客室だけでなく館内の随所に取り入れられていて、「ウェスティン都ホテル京都」ではカクカクした直線的なデザインを見ることはほとんどありません。滞在中はあちこちに散りばめられた「優美な曲線」に注目してみてください。
文豪も泊まった数寄屋風別館「佳水園」
「ウェスティン都ホテル京都」には、隠れ家的な老舗旅館のような雰囲気漂う数寄屋風別館もあります。それが、名建築家・村野藤吾氏が設計を手がけ、1960年に営業を開始した「佳水園(かすいえん)」。
重厚な檜皮葺(ひわだぶき)の門をくぐり、緑でひょうたんと盃を表現した「白砂の中庭」に来ると、ここだけ違う空気が流れているかのような感じがします。
今回のグランドリニューアルでは、この「佳水園」も歴史を感じさせるたたずまいはそのままに、客室が全面的にリニューアルされました。
木の香りに包まれる客室の平均面積は約70平米。しっとりとした和の趣を感じさせつつも、床の間の曲線や少し高めの座椅子など、デザイン性と快適性を重視した空間に生まれ変わっています。
全室に手紙をしたためたくなるような書斎があるお部屋も特徴のひとつ。なんだか文豪気分が味わえそう……。かの川端康成もこの「佳水園」を愛し、小説『古都』の執筆時にはしばしば訪れていたそうです。
さらに、今回のリニューアルによって「佳水園」にも天然温泉が引き込まれ、高野槇や檜を使用した浴槽でプライベート温泉に浸かれるように。フロントから少し遠いぶん、離れのような感覚でおこもりステイが満喫できます。
しっとりとした時間が流れる贅沢な和空間、一生に一度は泊まってみたいですね。
グランドリニューアルの目玉!SPA「華頂」
リニューアルした「ウェスティン都ホテル京都」の一番のお楽しみといっても過言ではないのが、新たに誕生したSPA「華頂」。敷地内で掘削した天然温泉を使用した、総面積約2100平米の京都最大級のスパ施設です。
SPA「華頂」という名称からもわかるように、従来の純和風の温泉とは違った雰囲気。周囲の景観との調和を意識しつつも、ローマ浴場の流れをくむヨーロッパの温泉のようなエレガントな空間で、これまでになかった洗練された温泉体験が楽しめます。
女性内湯には村野氏の柔らかな曲線美が取り入れられていて、客室やロビーのデザインに通じる世界観がここでも余すところなく表現されています。
水路閣をイメージした半露天風呂は「ウェスティン都ホテル京都」の新たなアイコン。この半露天風呂がもう最高なんです!お風呂の奥の水盤に木々が映る様子が幻想的で、アーチが連なるデザインがどこか別世界を旅しているかのような気分を味わわせてくれます。
内湯には温度が異なる2つの浴槽が2つあり、ぬるめに設定されている湯船なら、のぼせやすい人でも比較的長く浸かっていられますよ。
結局、チェックイン後の昼と夕食後の夜、さらに翌朝と計3回もSPA「華頂」での入浴を堪能。京都で「温泉三昧」が楽しめるなんて、以前は思ってもみませんでした。
「Le Jardin Sothys」でトリートメントも受けられる
SPA「華頂」には、リトリートサロン「Le Jardin Sothys」も併設。「Le Jardin Sothys」はフランスのスキンケアブランド「SOTHYS(ソティス)」直営のエステティックサロンで、自社の庭園からインスピレーションを得ています。
単なるリラクゼーションに終わらず、ドライマッサージや鍼灸なども行っている新感覚のサロンで、「改善」することを重視したトリートメントに心も身体も癒されること請け合い。
先に温泉で身体を温めてからトリートメントを受けると、トリートメントの効果がよりアップするのだそうです。
今回は、実際に先に入浴してから「Le Jardin Sothys」でトリートメントを体験。
首や背中がかなり凝っていたので、筋肉にアプローチする深いストロークでのオイルマッサージをしていただきました。「あ~そこそこ!」と言いたくなるような的確な刺激や、安心して身を任せられる手業はさすがプロ。
身体が楽になったのはもちろんですが、フェイシャルトリートメントは一切していないのに、施術後はフェイスラインもきゅっと引き締まったことに驚きました。
せっかく「ウェスティン都ホテル京都」で湯治をするなら、「Le Jardin Sothys」のトリートメントを組み合わせることで、幸福感が2倍にも3倍にもなるはずです。
目でも舌でも楽しめる「洛空」のビュッフェ
「ウェスティン都ホテル京都」にはフレンチと鉄板焼を提供する「Dominique Bouchet Kyoto」と、オールデイダイニング「洛空」、3軒のレストランがあります。
今回体験したのは京都舞鶴港から直送された魚や京都産の野菜など、京都の食材を使ったこだわりの料理が楽しめる「洛空」のディナービュッフェ。
ライブキッチンが充実
好きな料理を好きなタイミングで、好きなだけ食べられるのがビュッフェの醍醐味ですが、「洛空」のビュッフェはライブキッチンも充実。ビュッフェでありながら、和洋の多彩な料理をできたてでいただくことができるんです。
この日のライブキッチンのメニューは、お寿司や天ぷら、パエリア、パスタなど。
ライブキッチンカウンターとは別に、オーダーしてから蒸して席まで運んでくれる点心や、切り立てを盛りつけてくれるローストビーフのワゴンもあります。このローストビーフがステーキ並みに肉厚で絶品!
あらかじめ小皿に盛り付けられている嬉しいシステム
「洛空」では、カウンターに並んでいるお料理にも嬉しい工夫があります。ビュッフェには「カウンターに料理が並んでいる光景にはテンションが上がるけど、お皿に取るとパッとしない」「料理を取るのが面倒」という残念さが付きまとうこともありますが、ここではビュッフェならではの残念ポイントが解消されているんです。
というのも、カウンターに並ぶお料理は少しずつきれいな器に盛り付けられているので、器ごと取るだけでオッケー。
器にはフタかカバーがされているので、衛生面が気になるご時世でも安心です。写真に撮っても、1枚のお皿にたくさんの料理を盛るよりも映える!
一部サラダなどその場でよそうお料理もあるのですが、その場合は近くに待機しているスタッフが取ってくれるので、ビュッフェ特有のわずらわしさを解消した素晴らしいシステムだと感じました。
お料理だけでなく、デザートもひとつずつガラスの器に盛られていて、とってもキュート。その場で盛ってくれるジェラートがおいしすぎて、思わずおかわりしてしまいました。
温泉にトリートメントにビュッフェにと、「こんなに至れり尽くせりでいいのだろうか」と思わずにはいられない1日。たまにはこうして自分をめいっぱい甘やかしてあげる日があっても罰は当たらない、はず!
天然温泉が加わって「鬼に金棒」
グランドリニューアルによって、新たな魅力が開花した「ウェスティン都ホテル京都」。リニューアルの経緯やポイントについて、マーケティング部の新実(にいみ)さんに教えてもらいました。
今回のグランドリニューアルの経緯を教えてください。
130周年という節目の年であったことに加え、京都に新しいホテルが次々にオープンするなか、以前から知っていただいているお客様だけでなく、新しいお客様にも来ていただけるようなエレガントで上品なラグジュアリーホテルにしたいという思いがありました。コロナ禍でのオープンとなってしまいましたが、海外の富裕層のお客様のご利用も想定していました。
期せずしてコロナ禍でのグランドリニューアルになってしまったわけですよね……。リニューアルにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
今回のリニューアルは、「The Queen of Elegance(気品ある女王)」というデザインコンセプトに基づいて行いました。
単に客室を広くするというだけでなく、優美さや特別感のある空間演出にこだわり、以前に比べ、客室デザインにもかなり特徴のあるホテルになったと感じています。
「気品」や「優雅」さはあちこちで感じます。それにしても、ほとんど全部が新しくなりましたよね。
ロビー、客室、レストランなどのリニューアルに加え、京都最大級の天然温泉施設であるSPA「華頂」を新設しました。一部のスイートや宴会場は以前のまま残してありますが、「全館新装」に近いくらいの一大リニューアルです!
めちゃくちゃ大がかりなプロジェクトですよね。特に、新たに温泉を引いたというのが驚きです!
京都には何十回も来ていますが、正直なところ「京都で温泉に入る」という発想がありませんでした。日本は掘れば温泉が出る国だと思いますが、いざ掘るとなると大変じゃないですか……?
おっしゃる通り、営業しながらの掘削でしたし、当ホテルが高いところにあるため深くまで掘らなければならなかったので、温泉を掘るのに約3年かかりました。
3年!やっぱり温泉を掘るってすごいことなんですね。
そうなんです。だからこそ、来ていただいたからには、SPA「華頂」には絶対に入っていただきたいですね。弱酸性の温泉なので、お肌がツルツルになります。
実際に入ったら「最高」の一言でした!
ここは南禅寺や哲学の道などの観光地も近いですし、地下鉄の蹴上駅からすぐなのに、自然豊かでゆったりとした気分が味わえます。もともと「利便性」と「リラックスできる環境」を兼ね備えていたところに、温泉が加わったら鬼に金棒ですよね!いままでとはひと味違った、新しい京都旅のスタイルが見つかりそうな気がします。
そうおっしゃっていただけると嬉しいです。当ホテルにはさまざまな顔があるので、実際にお越しいただくと必ず気に入っていただける施設だと思っています。
もっと多くの人に知っていただいて、1人でも多くの方に足を運んでいただきたいです。
京都の新しい楽しみ方を発見できるホテル
ただ施設を新しくしてハード面を充実させただけでなく、ホテルが持つ伝統や歴史を大切にし、それを誇りに思うスタッフの方々がいるからこそ、ゲストにとって特別な場所になっているのでしょう。
地下鉄で簡単にアクセスでき、周辺に色々な観光地があるロケーションで天然温泉を備えた「ウェスティン都ホテル京都」は、京都の新しい楽しみ方を発見できる場所。
限られた時間でも温泉と観光の両方をフルに満喫するのも良し、あえて観光しない日を作って、とことんおこもりステイを楽しむのも良し……
ラグジュアリーホテルらしく丁寧でありながら、ゲスト1人ひとりに対する親しみが感じられる接客も素晴らしく、「また帰ってきたい」と思えるホテルでした。
本当に、紹介しきれないくらいたくさんの見どころがあるので、ぜひご自分の目でその魅力を発見してみてください。
「ウェスティン都ホテル京都」詳細・アクセス
公式HP:https://www.miyakohotels.ne.jp/westinkyoto/index.html
所在地
〒605-0052
京都市東山区粟田口華頂町1(三条けあげ)
アクセス
・京都駅から地下鉄(烏丸線・東西線)で約15分、地下鉄東西線「蹴上駅」下車 徒歩約2分
・山科駅から地下鉄(東西線)で約6分、地下鉄東西線「蹴上駅」下車 徒歩約2分
※京都駅八条口より、無料のホテルバスあり
取材・執筆:はるぼぼ