YOKOSUKA軍港めぐり
その日によって見れる景色や船が違う「YOKOSUKA軍港めぐり」は、1周約45分でまわれる老若男女問わず人気のクルージングです。
イージス艦や護衛艦のオンパレード!YOKOSUKA軍港めぐりに行ってきた
アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船を間近で見ることができる日本で唯一のクルージングツアー「YOKOSUKA軍港めぐり」に行ってきました!
目次
海軍港として栄える横須賀港は東京湾の入口部分で、毎日多くの船が行き交う場所です。そして横須賀の一大観光スポットでもあります。京急線「汐入駅」から徒歩約5分、JR横須賀線「横須賀駅」から徒歩約15分で着くアクセスの良さも嬉しいポイント。
今回は横須賀港でイージス艦や潜水艦など多くの艦船が観られる「YOKOSUKA軍港めぐり」に行ってきました!
取材日は抜けるような青空で絶好のクルーズ日和。一体どんなツアーになるのでしょうか。楽しみです!
さっそく、YOKOSUKA軍港めぐりの案内人である若杉さんにお話をお伺いしました。
横須賀生まれ横須賀育ちの若杉さんはYOKOSUKA軍港めぐりの案内人としてキャリアは10年以上。船や地理の知識もさることながらユーモアあふれるトークで楽しませてくれるガイドさんです。
今日はよろしくお願いします! さっそくですがYOKOSUKA軍港めぐりとはどんなツアーですか?
よろしくお願いします! 横須賀本港はアメリカ海軍施設と海上自衛隊の地方総監部が置かれた港なので、アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船を間近で見ることができる、日本で唯一のクルージングツアーなんですよ。
なるほど。今日は若杉さんがガイドしていただけるとのことで楽しみです! ガイドさんは何人くらいいらっしゃるんですか?
ガイドは今13人いるんですが、女性は今のところ私一人です。今は研修中の女性スタッフが3人いるので、今後は女性スタッフがもっと増える予定ですよ。私は気づいたらガイド歴が10年になっていたので、教育係も兼任しています。
10年…! ガイドのプロですね。ガイドになるための研修期間はどれくらいあるんですか?
研修期間は半年ほど。船に乗りながら勉強して、実際にガイドする原稿も自ら書いてもらいます。軍港ガイドは知識だけでなく、臨機応変なユーモアも必要です。お客様に満足いただけるようなガイドができるようになるまで、何度も練習を重ねているんですよ。
きちんとした研修期間を経て、お客様の前でガイドできるようになるんですね。
港の状況がいつも違う! 365日違う景色が楽しめる
素晴らしく天候に恵まれた取材日。海風が心地よく吹いています。
YOKOSUKA軍港めぐりの魅力は何でしょうか?
魅力はたくさんあるんですが、艦船は出港と入港を繰り返しているので景色が毎日変わるところですね。
1日の間でも、「さっきいたのにもういない!」とか、「さっきはいなかったのに今の時間は見れる!」といったシチュエーションが毎日たくさんあります。1時間ごとに違う景色が見れることもあるので、2回連続で乗船されるお客様もいます。なかには、1日5便乗る方もいますよ。
1日5便!? 熱狂的なファンがいらっしゃるんですね。
今日もその方いらっしゃいますよ! 結構若い方なんですが、今では私達案内人とも仲良くなってお互いに港の情報交換をしたりしています笑。
(すごいパッションだ…….。)お客様の年齢層や男女比ってどうですか?軍港とか船となると、ご年配の方が多いのかなと思っていたのですが。
コロナ禍になる前は観光バスで来られる50〜60代の方が多かったように思いますが、ここ最近は若いカップルや、ファミリー層も増えました。20~30代の女性同士も増えました。お子さんは船に乗るだけでもすごく楽しそうにしていますし。
台本はなし! その場に合わせて個性あふれるガイドさんが解説
老若男女問わず幅広いお客様がいらっしゃると大変そうですね。
そうですね。案内の内容に関しては台本が一切ないので、その日に出会える景色をベースに、アドリブで話すのはもちろんですが、客層にあった案内を心がけています。お客様によっては、マニアックな情報ばかり話しても「ぽかーん」としてしまうので、その便ごとに客層を見て話す内容を変えています。
まさにガイドのプロですね。しゃべりたいことをしゃべるのではなく、お客様に合わせて対応するのは素晴らしいです。
高校生の修学旅行などは大変ですけどね。
うわー大変そう!笑
それにしても若杉さん、10年も軍港めぐりガイドをやっていたら、飽きたりしませんか?船も覚えちゃうだろうし……。
それが飽きないんですよ。なぜなら1度として同じ景色はないからです。案内するときも、お客様の年齢層や属性に合わせて話す内容やレベルを変えたりしているので、私自身も楽しんでやっています。また、いつ乗っていただいても楽しめるように、常に新しい情報を仕入れて伝えるようにしています。
素晴らしい!
また、型通りの台本はないので、13人のガイドによってそれぞれオリジナリティあふれるガイドが楽しめます。なので1日に何度も乗船される方がいらっしゃるんです。
若杉さんのおすすめは「イージス艦」と「潜水艦」!
45分のクルーズのなかで、ガイドさんごとに「推しポイント」は違うと思いますが、若杉さんの推しポイントはどこでしょうか?
いや〜絞るのは難しいですが、「イージス艦」と「潜水艦」ですね! 個人的な話ですけど、私イージス艦2回乗ったことあるんですよ。見た目の迫力もすごいですし、「名探偵コナン」にも登場したので、小さい子に案内するとテンション上がりますよ。また、潜水艦はいつも潜っているので、なかなか見る機会ないですし、潜水艦は秘密が多いのでミステリアスなところも好きなんです。
なるほど〜! イージス艦と潜水艦は毎日見られるんですか?
いえ、毎度必ず見れるわけじゃないんです。この日にこんな船が見れる! と事前に分かるわけではないので、私達案内人も1便目に乗ってみないと分からないんです。
ラッキー! 楽しみです。
船の他にも、視界が良いと富士山やスカイツリー、対岸の千葉方面も見えます。横須賀は東京湾の入り口なので、船マニアの方は朝から岸壁で張っている人もいます。笑 今日は天気が良いので、いいクルーズになると思いますよ! そろそろ乗船時間なので、さっそくいきましょう!
いざクルーズへ!
本日お世話になるクルーズ船へ。特別に乗船時間前に入らせてもらうと、研修中の女性スタッフ達が迎えてくれました。
先輩にいろいろとレクチャーを受けている最中でした。とても和やかな雰囲気です。
1階は冷房が効いていて快適に過ごせるスペースになっています。
2階は吹き抜けになっていて、景色は抜群にいい!
11:00~の乗船で、20人ほどのお客様がいらっしゃいましたが、ほとんどのお客様が2階に上がりました。晴天でしたが、日除けもしっかりあって海風も心地よく、快適です。
1階では若杉さんのアナウンスを直接聞けますが、2階でもスピーカーでしっかり聞けるので安心です。
45分間の乗船スタート!
若杉さんの案内をもとに右へ左へとあちこちに目がいってしまいます。
さっそく見られたのは184番、ヘリコプター搭載護衛艦「かが」です。普段横須賀ではめったに見れない護衛艦で、母港は広島の呉だそうです。いきなりすごいインパクト!
それもそのはず、若杉さんの説明によると、海上自衛艦で一番大きな船とのこと。船全体の長さはおよそ248m。東京都庁の建物を倒したときと同じくらいの長さらしいです。なんて迫力だ……。
他の船は2基くらいしか停められないんですが、この護衛艦にはヘリコプターをおよそ14基停めることができます。「かが」は今後空母化されるようなので、戦闘機を飛ばすこともできるようになるかもしれません。
続いて見えたのが174番「きりしま」横須賀を母港とするイージス艦です。
イージス艦はレーダーを搭載した船で、約100発のミサイルが飛んできたとしても全てに的を合わせ撃ち落としていきます。判断にかかる時間は3秒以内です。レーダーは壁に埋め込んであるですが、八角形の板のようなものが見えますか?これがレーダーカバーです。カバーを外すと、約4000個のレーダーが壁の中に詰まっています。このレーダーが4方向に全てについているので死角はありません。この八角形の白い板がイージス艦の目印にもなっています。
イージス艦自体が大きすぎるので、4000個のレーダーカバーがとても小さく見えます。
続いて179番「まや」180番「はぐろ」。それにしてもまだ乗船して5分ほど。こんなにぽんぽん見れるものなのか!?
みなさん今日はかなりラッキーです! イージス艦は海上自衛隊だけで全部で8隻あるのですが、そのうちの3隻がもう見られましたね。180番の「はぐろ」は長崎県の佐世保が母港なので、横須賀で見られるのは珍しいです。
続いてアメリカ海軍のイージス艦62番のチャンセラーズビル。その奥にはイージス艦がさらに3隻ありました。
日米2カ国のイージス艦が見れる日はなかなかないですよ! イージス艦を持っている国ってどれくらいあるか知っていますか?
(うーん、国を守るための重要な船だから結構あるんじゃないかな? 既に2カ国見れているし……)
じつはたったの6カ国なんです。日本、アメリカ、そして韓国、スペイン、ノルウェー、オーストラリアしかありません。
(えー! 少ない! )
奥には69番のミリアス、52番のバリー、54番のカーティス・ウィルバーと全部で4隻も見られました!
さらに進んでいくと、遠くに大きな護衛艦が見えました。こちらは183番「いずも」。海上自衛艦で一番大きな2隻の護衛艦を1日で見ることができました!
船は少しずつ進んでいきます。八景島シーパラダイスがある追浜地区が見えてきました。
右側の窓がない箱のような建物はNISSANの工場。電気自動車のリーフを造っているそうです。そして左側、となりの建物は横須賀市のゴミの収集所で、資源ごみを集めている場所です。
民間が持つ油を運ぶタンカー船が現れました。燃料を積むと下部の赤い部分は重さで沈むそうです。今は赤い部分が出ているので燃料を積んでいないと判断できるそう。なるほど……。若杉さんのガイドを聞きながらのクルージング、楽しい!
230番「じんつう」も見えてきました。
「じんつう」に乗っているこの白いカプセルは1秒間に約75発の弾を出せるらしいです。ミサイルが飛んできたときに防御するシステムとのこと。青い服を来た乗組員の方がメンテナンスをしています。普段生活をしているとなかなか見られない光景です。
そしてこの黒い物体……もしや!
潜水艦だー!!
初めて見ました。こんなに大きい固まりが海に潜るんですね。潜水艦には番号や名前が入っていないそうで、潜れる深さや潜る期間、そして行き先に関しても全てが機密時事項だそうです。まさにミステリアス。どれくらいの深さ潜れるのか気になってしまいますが、確認のしようがありません。
さらに進んでいくと、多くの護衛艦がずらっと並んでいます。若杉さんいわく、この日は護衛艦がたくさん顔を揃えていて、とっても珍しい日とのこと!
右から105番「いなづま」113番「さざなみ」180番「はぐろ」!
若杉さんのタイミング良いアナウンスのおかげで護衛艦をじっくり楽しむことができます。
180番「はぐろ」にかかっている旗は「国際信号旗」で、組み合わせによってさまざまな意味があるそう。今は訓練中のようです。
106 番「さみだれ」104番「きりさめ」179「まや」117番「すずつき」101番「むらさめ」……。スムーズに名前が出てくる若杉さん、さすがです。
というか、護衛艦パラダイスだ!一周回るだけでこんなにも護衛艦が見れるとは感激です。
最後は抽選会も!おみやげコーナーも充実!
あっという間の45分でした。一緒に乗船された皆さんも満足げです。終始楽しそうにしていたお子さんの歓声が印象的でした。
チケット売り場に戻ると、当選番号が張り出されていました。
乗船チケットの下三桁が抽選番号になるのでなくさないように!
もしかして自分が当たるのではとドキドキしていましたが、外れていました……。
こちらはお土産コーナーの一角。一番人気は缶詰のカレー! 部屋に飾りたくなるようなかっこいいラベルデザインです。
若杉さんおすすめの潜水艦ボールペン。
こちらも若杉さんのおすすめ、手のひらサイズのチョロQ「きりしま」です。チョロQ、懐かしい……!
なんとこちら、タカラトミーさんとイージス艦「きりしま」のコラボ商品だそうです。なんでも、このイージス艦を象徴するグレー色を忠実に再現するのに一苦労したとか。
本物のイージス艦を買うと1500億円ほどしますが、チョロQなら1000円で手に入りますよ!笑
お子様へのお土産にも最適ですね。
船に全然詳しくなくても、楽しいガイドと素敵な景観で終始楽しむことができました。若杉さんありがとうございました!
イージス艦や潜水艦に興味を持った方はもちろん、護衛艦に詳しくなくても楽しめるのでぜひ行ってみてください。
YOKOSUKA軍港めぐり 施設詳細・アクセス
・公式サイト
https://www.tryangle-web.com/naval-port/
・運行時刻
(10:00便※土日祝日のみ )11:00便 12:00便 13:00便 14:00便 15:00便
一般の方は6ヶ月前〜運航前日まで可能(空き状況によります)
・乗船料
一般 大人1,600円 小学生 800円 小学生未満無料 ※横須賀市民は半額
団体(15名以上) 大人1,440円 小学生720円 小学生未満無料
現金のほか、クレジットカード対応
時間 1周約45分
・アクセス
京急線「汐入駅」から徒歩約5分
JR横須賀線「横須賀駅」から徒歩約15分
隣接駐車場も約1,380台分駐車可能
取材・執筆:吉川大智