新江ノ島水族館
神奈川県藤沢市の「新江ノ島水族館」は、江の島近隣の観光名所として有名。13のゾーンには相模湾の豊かな恵みを中心に展示されています。クラゲ、イルカ、ペンギンなどのショーも大人気です。
実は展示がめちゃくちゃ難しい「生きたシラス」も見られる!新江ノ島水族館に行ってきた
神奈川県藤沢市の「新江ノ島水族館」は、江の島近隣の観光名所として有名。広大な館内は13のゾーンに別れています。今回は広報さんに、新江ノ島水族館のおすすめコースを教えていただきました!
目次
神奈川県藤沢市の「新江ノ島水族館」は、湘南エリアの人気スポット。
地元相模湾を紹介するエリアや、深海についての研究開発を展示するエリアなど、館内は大きく分けて13のエリアにわかれています。
クラゲに癒やされる「クラゲファンタジーホール」や
人気者のペンギンの他に
江の島が臨める、絶景ショースタジアムも大人気なんです。
新江ノ島水族館の見どころを、広報さんにうかがいました。
※撮影の為、一時的にマスクを外していただきました。
江の島も富士山も一望できるロケーションに立地
新江ノ島水族館は小田急線の片瀬江ノ島駅から徒歩5分の距離に位置します。
江の島といえば、海!! この周辺はサーファーに人気エリアなので、季節を問わずサーフィンを楽しむ方を見かけます。さらに奥には富士山も臨むことができるんです。この日は若干霞んでいましたが、もっとクリアに見える日もあるとのこと。贅沢なロケーションですね!
新江ノ島水族館は、地上2階・地下1階建ての建物です。以前の江の島水族館の時には3つに別れていた建物を一つにまとめ、2004年にグランドオープンしました。
江の島水族館の歴史
江の島水族館は1954(昭和29)年、日本の近代的水族館の第1号として誕生。「水族館(1号館)」と、後に増築された「マリンランド(2号館)」「海の動物園」が国道134号沿いを挟んで建っていました。そのため展示間の移動が不便な面もあったそうです。江の島水族館は2004年に閉館し、同年に江の島水族館の施設を統合した、新江ノ島水族館がオープンしました。
地元の海を学ぼう「相模湾」ゾーン
まずはこちら、相模湾のゾーンからご案内します。
相模湾は、暖流と寒流がぶつかる外洋の近くにあり、深海、岩場から砂浜、干潟までさまざまな生態環境を持っている豊かな海なんです。このゾーンでは、相模湾内の各地域を再現した水槽が並びます。
井上さん、伊勢海老がいます!
ここは湘南港にいる魚達を集めた水槽です。意外なんですがこの辺りでも伊勢海老が採れるんですよ。
こちらの「相模湾キッズ水槽」は、お子様でも見やすいよう水槽の高さを下げているんです。大きな水槽だと見落としがちな生物を集めているので、ここでじっくりご覧いただけます。
相模湾大水槽です。上階の水槽からこちらまでつながっているんですよ。
相模湾がこんなに豊かな環境だったなんて、知りませんでした。どうしても首都圏の海って、あまり綺麗ではないイメージがしますよね。
もうひとつ、ぜひ見ていただきたいポイントがあります! 水槽横に展示されているこのイラストは、当館のスタッフが描いたものなんです。
このイラストの腕前はもはやプロですよ! コメントもクスっとしてしまうのがいいですね。
世界初!カタクチイワシの繁殖展示「シラスサイエンス」
ここは、ぜひご覧いただきたいコーナーなので、じっくりご案内しますね
江の島といえばシラスを思い浮かべられる方も多いと思います。新江ノ島水族館ではシラスを展示したいという思いがあり長年研究を続け、開館10周年でようやく実現しました。
シラスとはどんな魚??イカナゴ・ウナギ・カタクチイワシ・マイワシ・ウルメイワシ・アユ・ニシンなど、体に色素がなく白い稚魚の総称様々な魚の仔稚魚の総称。白子干しなどの形で積極的に食用とされるのは、イワシ仔魚(主にカタクチイワシ)がほとんど。新江ノ島水族館では、カタクチイワシの稚魚を展示しています。
卵から孵化してすぐの「シラス」と呼ばれる状態は、まだ鱗が生えていないので非常にデリケートです。
地元の漁師さんが、傷つけないように慎重に慎重に獲ったシラスを、水族館に持って帰ったところ、翌日には全滅していました。シラスを捕獲して育てるのは難しいということがわかり、現在は水族館内で卵を孵化させ、大きくなるまでを2つの水槽にわけて展示しています。
この水槽に孵化して数日のシラスがいるのですがおわかりになりますか?
白くて小さいなにかが動いていますね。でも魚というよりは微生物のような動き方をしています。
シラスは手をかけすぎてもだめだし、手をかけなくてもダメで……そのため、孵化して40日ほどはこのように濁った水質ですごしています。
生まれて1ヶ月ほどは大変弱く、微細な変化でも全滅します。例えばエアレーションを少し強めるとか、水槽に注ぐ海水を少し増やすとか、本当にちょっとした刺激ですぐに死んでしまうんです。
えぇぇ……
おもに2㎝程度の大きさまでがシラス、生後40日を超えて3㎝程度になると親イワシのように銀色がつきはじめ、カエリと呼ばれるようになります。ここまで育つと、イワシっぽさが出てきますよね。ここでようやく水の入れ替えをしても耐えられる強さになるんです。
当初は試行錯誤の連続でしたが、いまではシラスの繁殖に成功しエサになるワムシの培養からしっかりと管理をしています。良質のワムシが培養できるように、クロレラをしっかりと与えて栄養管理しているんですよ。
エサのエサまで気を配っていると言うことですよね?!
そうです!顕微鏡で除きながら管理をしていて…… あのこだわりと、魚に対する愛情は同じスタッフとしても頭が下がる思いです。 良質のワムシをとると、シラスも調子がいいんですよ!
みなさんのシラス愛が素晴らしいです。
シラスの展示をしていて思うのは、もっと地元の旬を知ってもらいたいということです。展示をみながら「おいしそう」と思ってもらうのは、私達の飼育状態が良いという褒め言葉だと思っていて。「今日、シラス食べて帰ろっか?」という気持ちになってくだされば最高ですね(笑)
海の恵みを知り、生きてる姿を見て、命をいただくことに感謝してもらえれば、うれしいです。
今日からシラスを見る目が変わる気がします……!
日本初!深海生物の長期飼育に挑戦する深海Iのゾーン
続いての「深海Ⅰ」は太陽の光が届かない、水深200メートル以深の深海についての研究を展示したエリアです。新江ノ島水族館は、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)と協力し深海生物の飼育技術の研究を行っています。
これまで難しいとされてきた、深海生物の長期飼育技術を研究開発しながら、その様子を展示しています。
この「化学合成生態系水槽」は一見地味ですが、深海の環境を再現した世界で唯一の水槽です。地底から熱水が湧き出す様子や、その横に鯨の骨が横たわる環境などをを作り出し、深海の世界を忠実に再現しています。
60年の研究を続ける「クラゲ」ゾーンと多様な生物が生きる「太平洋」ゾーン
深海から一度上がって、再び海の生物に関する展示が続きます。
癒やしの空間「クラゲファンタジーホール」
今となっては、どの水族館でもみかけるようになったクラゲですが、私たちは旧江の島水族館時代からあわせ、約60年以上飼育研究を続けています。
こちらは、他のゾーンとはかなり雰囲気が違いますね。
中央の「クラゲプラネット」と呼ばれる球形の水槽を中心に、クラゲをより美しく魅せるために工夫された照明演出を行っています。
本来は、このゾーンでプロジェクションマッピングによるショーを行っているのですが、感染症対策でショーが休止中なんです。そのかわりにホールの壁にプロジェクションマッピングで装飾を施すなどの工夫をしています。
海の人気者が集結 太平洋のゾーン
ここでは親潮が流れる北の海と黒潮が流れる南の海、それぞれの展示をしています。
北の海は、太陽の光が弱く、海の中の景色も暮らす魚たちも落ち着いた地味な色をしているのが特徴です。
南の海は生き物の種類がとても多く、あざやかな模様を身につけています。みんなの人気者のチンアナゴやカクレクマノミ、ナンヨウハギは南の海の生き物がいる水槽にいます。
「フウセンウオ」は人気です。この何を考えているかわからない、ぽかんと開いた口と虚ろな表情がなんともシュールで可愛らしいですよねー。
大人気ペンギンとゴマフアザラシ
新江ノ島水族館のペンギンプールは、ゲストが一羽一羽を見分けられるように、名前とタグの色が貼り出されています。ペンギンたちのショーも大人気なんですよ。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在ペンギンのショーは休止中です。
クラゲサイエンス
先程の「クラゲファンタジーホール」は癒やしの展示でしたが、こちらの「クラゲサイエンス」はクラゲの生体について学べる展示です。実際に飼育作業をしている様子もご覧いただけます。
イルカ・アシカショー「きずな/kizuna」
イルカショースタジアムでは、イルカとアシカのショー「きずな/kizuna」が毎日開催されています。
※ショーの時間は曜日や時期、イベントにより変更します。開催時間はホームページをご確認ください。
やっぱりいくつになっても、水族館のショーは盛り上がりますね!
新江ノ島水族館では、飼育員のことを「トリーター」と呼んでいます。
よく聞く「トレーナー」ではないんですね。
生物を飼育し(treat)お客様をおもてなし(treat)するという意味合いを込めた展示飼育スタッフの呼称なんです。
なるほど!
ショーは約15分間です。その時に練習中の種目も紹介します。成功するときも、まだまだうまくいかない時も「ありのままの姿」としてご覧いただいています。
実施回ごとに違った顔を見せてくれる生き物たちの、自然な姿をたのしんでくださいね。
ショープールのすぐそばには、まだ小さなイルカがお母さんイルカと一緒に生活しているプールもあります。
屋外では可愛い動物たちと触れ合える
そろそろ屋外をご案内しようと思いますが……
出てすぐのところにコツメカワウソがいるはずなんですけど……あれ?
寝てますね……! かわいすぎる……!
今日は天気がいいから、カピバラも日光浴してますね。動く気配がないです。
※カピバラにごはんをあげるふれあいプログラムは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い現在休止中。
外にはウミガメを間近に観察できる「ウミガメの浜辺」を設けています。相模湾って複数種類のウミガメが生息しているんですよ。
※現在ウミガメのタッチは休止中です。
「アオウミガメ」のプールです。ここにいるアオウミガメの中には、新江ノ島水族館で生まれた子もいるんですよ。
そしてこちらは「アカウミガメ」のプールです。アカウミガメは気性が荒く、他のカメと喧嘩してしまうんです。ここではちょうどいい距離感を保ち、ストレスなく生活できる環境を作っています。
深海II〜しんかい2000〜
続いては、屋内に戻ってJAMSTECの有人潜水調査船「しんかい2000」を展示をご案内します。「しんかい2000」は人が乗船して深海を調査するために作られた、日本初の本格的な潜水調査船で、深度 2,000mまで潜航することができます。
1982年1月から2002年11月まで20年以上にわたって1,411回潜航し、様々な海底調査を行ってきました。今は現役を退きましたが、まだ立派に動くんですよ。2017年には、日本機械学会から「機械遺産」に認定されました。
動くのに「遺産」とは不思議な感じですね……
そうですね(笑) 今でも定期的にJAMSTECの専門スタッフがメンテナンスにきてくださるんです。その様子を公開し、さらにスタッフさんから貴重なお話が聞けるイベントも開催しているんですよ。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在はイベントを見合わせています。
しんかい2000ができる前に訓練していたコックピットをお借りして展示しています。
うわ、狭いですね〜! 人間はここしか出入りできないということですよね?
そうなんです。定員は3名、操縦スタッフが2名と研究者が1名が限界なんですよ。
たしか潜水艦ってトイレもないんですよね。この状態で何時間くらい調査するんでしょうか。
潜航時間だけで7時間なので、準備やその後も考えると、長時間トイレにいけないですね(笑)
でも、潜っている最中は仕事がとても多いですし、なにより神秘的な深海の世界をみていたら、あっという間に時間が過ぎてしまうらしいですよ!
しんかい2000の他に各国の潜水艦についてや、潜水艦を調査地まで運ぶ母船の模型が展示されています。
ところで、この周りにカニがいるじゃないですか。これは本物のカニの抜け殻なんです!
ええ!?
やはり本物の潜水艦には本物を、ということで、深海担当トリーターがこだわっています。脱皮すると、標本作りも行っています。
素晴らしいこだわりというか、ちょっと微笑ましいですね(笑)
ショップ、レストラン
館内には飲食物の販売が3箇所あります。まずは2Fロビーのオーシャンカフェ。こちらはジュースやサンドイッチが楽しめる飲食売店です。
生き物の形をしたパンが好評で、平日でも早めに来ないと売り切れるほどの人気なんですよ!
2Fのデッキは江の島がみられる絶景スポットです。テーブルもご用意していますので、天気の良い日はデッキで食事を取るのもよいですね。
※この他2Fショースタジアムにも売店あり。緊急事態宣言発令中は、平日のみお休みしていました。
また、1Fの湘南カフェはカレーやシラス丼が楽しめます。
1F出入り口前には、湘南カフェと隣接してメインショップが営業中。新江ノ島水族館のオリジナル商品や海の仲間のかわいいグッズを取り扱っています。
人気のお土産はどういったものでしょうか?
新江ノ島水族館のオリジナルグッズが人気ですが、やはり江の島ですので「しらすチップ」が人気です。
メインショップの商品ではありませんが、2Fロビーで行っている「ぬいぐるみくじ」が大人気ですね。
通りがかかった子供が、絶対にやりたがるやつですね(笑)
お泊まりに結婚式まで!?こんなイベントもやってます
新江ノ島水族館では、通常営業以外にもイベントを多数実施しています。
特に2004年からはじまった「お泊まりナイトツアー」は、水族館に泊まれる人気イベント。親子、子供、女性限定など、さまざまなプログラムがあります。
※現在(2021年3月)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日帰りナイトツアーとして開催しています
また、新江ノ島水族館といえば、水族館ウエディングでも有名です。
えのすいWedding:https://www.enosui.com/special/spacerental.html
水族館でお泊りや結婚式、どれも特別感があってよいですね。
新江ノ島水族館の感染症対策
感染症対策について教えても頂けますか?
勤務するスタッフの体調管理はもちろん、ご来場されるお客様にもサーモカメラでの検温や、アルコール消毒をお願いしております。また、一部のショーやふれあいプログラムをお休みさせていただいています。
※詳細はホームページをご確認ください。
このほか、館内には換気用の扇風機を設置し、空気が循環するようにしているんですよ。
ここまでされているのはめずらしいですね。
少しでも安心してお楽しみいただけるように、感染症対策を講じております。
新江ノ島水族館を楽しむコツは?
これだけ見どころがあるとどう周るか悩むのですが、おすすめのまわり方はありますか?
まずショーやふれあいプログラムの時間を確認されるのが良いと思います。ショーやプログラムのお時間を確保していただき、合間に展示をまわられるのがおすすめです。
なるほど。たしかにショーは外したくないですね! これだけ展示が充実していると、ペース配分に迷ってしまいそうです。井上さんが「特にここを見て欲しい」というゾーンはありますか?
相模湾とシラスですね! やはり地元の海のめぐみに少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。大人から子供まで、お楽しみいただける展示やイベントをご用意しておりますので、ぜひ遊びに来てくださいね。お待ちしております!
新江ノ島水族館の施設詳細
公式HP:https://www.enosui.com/(クーポンなどもこちらに)
住所:251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
営業時間
3月~11月:9:00~17:00(最終入場16:00)
12月~2月:10:00~17:00(最終入場16:00)
※春の大型連休、夏休み、年末年始、館内イベントにより変更の場合あり
※施設メンテナンスで臨時休館あり
入場料
大人 | 2,500円 |
高校生 | 1,700円 |
中学生・小学生 | 1,200円 |
幼児(3歳以上) | 800円 |
アクセス
駐車場
専用駐車場なし。近隣に有料駐車場あり。
車でのアクセス
新湘南バイパス、茅ケ崎海岸インター下車後134号線で約15分
電車でのアクセス
小田急片瀬江ノ島駅から徒歩3分
江ノ電江ノ島駅から徒歩12分
取材・執筆:りお