福岡県

福岡市美術館

福岡市美術館は2019年にリニューアルした前川國男建築の美術館です。世界的な名品を含む約16,000点の幅広いコレクションを収蔵しており、草間彌生作品『南瓜』も展示されています。

福岡市美術館に行ってみた!水辺にたたずむ前川建築

6年の準備期間を経て2016年9月より休館し、2019年3月にリニューアルオープンした福岡市美術館を取材してきました!


博多駅からバスや電車で約30分

福岡市美術館は重要文化財を含む茶道具、仏教美術のほか、九州出身の近代洋画家、ミロ、ダリ、ウォーホルをはじめとする20世紀の作家の作品、さらには現代美術作品まで、世界的な名品を含む約16,000点の幅広いコレクションを収蔵している美術館です。

また、そんなコレクションを中心とした多彩な展覧会の開催や、市民の創作活動発表の場を提供したり、子どもから高齢者までアートに触れる楽しさを伝える教育普及プログラムにも積極的に取り組んでいます。

そんな福岡市美術館の魅力を、広報の方に教えていただきました!

コレクション展 近代美術

KYNE《Untitled》2020年 ※2022年12月27日まで展示

こちらは最近の一番人気作品で、福岡を中心に活動して国内外から注目を集めるアーティストKYNE(キネ)の《Untitled》です。

壁一面ですごい迫力ですね!

高さ3m、横13mの壁面です。『公共性と自由』をテーマにしていて、視線の先にある大濠公園も美術館も公的な場所。公共とは、自由とは何か。この人物はそんなことを考えているのかもしれません。

インカ・ショニバレCBE《桜を放つ女性》2019年

こちらは近現代美術室です。

この作品、力強さや視線の先の広がりがあってすごくかっこいいです。

これは《桜を放つ女性》という作品で、福岡市美術館が2019年春にリニューアルオープンしたことを記念してイギリスを拠点に活躍するインカ・ショニバレCBEの日本初個展を開催した際に、桜の時期だったリニューアルオープンを祝って制作されたものです。

それは美術館にとっても思入れの深い作品ですね。

この作品にはいくつもの意味が込められていて、例えば頭の地球儀には女性の権利獲得のために尽力した世界各国の女性たちの名前が記されています。

奥深いですね・・・他にも人気作品がたくさん展示していますし、深掘りしていったらあっというまに時間が流れていきそうです。

コレクション展示室 古美術

こちらは古美術のコレクション展示です。近代美術も含め、福岡市美術館の開館する5年前の1974年から収集を開始し、長年の購入や寄贈を経て収蔵品は今や16,000点を超えて、コレクション展示室にて適切なテーマのもと紹介に努めています。

九州にゆかりのあるコレクションが多いのでしょうか?

福岡市美術館のコレクションは多様さや多彩さが最大の特徴でして、近現代美術と江戸時代以前の古美術が共存しています。作品が生まれたシーンも日本国内だけではなく、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど実に広いんです。
作品の形状もまた絵画、彫刻、映像から屏風、陶磁器、染織りなとがありとても充実しています。

《東光院のみほとけ》通期展示

古美術ではこのような仏像も扱っていて、こちらは旧福岡藩主黒田家の菩提寺のひとつであった真言宗寺院・薬王密寺東光院(福岡市博多区吉塚)より寄贈された同寺旧蔵の仏像・什宝類で、国指定重要文化財25躯を含んでいます。

なんだかここだけ異様にキリッと張り詰めた空気感です。

1~2ヶ月ごとにテーマを変えて展示替え

こちらは、松永コレクションになります。

戦後の電力再編事業を通して日本の発展に寄与した松永安左エ門氏が収集した茶道具や仏教美術のコレクションです。重要文化財20件を含む371点を寄贈いただいています。
この壺は重要文化財にも指定されている『色絵吉野山図茶壺』というもので、日本一の桜の名所でもある奈良の吉野山の絶景が描き上げられた、仁清の色絵茶壺の名品です。

草間彌生「南瓜」

これテレビで見たことあります!草間彌生さんの作品で、直島に同じものありますよね?

草間彌生《南瓜》

1994年10月、アートプロジェクト「ミュージアム・シティ・ 天神 ’94 Fukuoka, Japan」で草間彌生の初の野外彫刻作品 《南瓜》が福岡の街中に出現し、注目を集めました。 本作を皮切りに、カボチャをはじめ、花々や帽子など、 色鮮やかな立体作品が制作され、いまや世界中に展開されています。

前川國男建築

福岡市美術館の外壁(一部)

福岡市美術館は展示物でけではなく、大濠公園の水辺にたたずむ赤茶色の外壁もまた特徴的です。常滑焼の窯で焼かれたタイルは、竣工から年月を経ても色落ちするどころか、ますますその輝きを増しています。

言われて注目してみれば、たしかに経年劣化や変色で色あせたような印象を全く感じません。

撮影:エスエス上田新一郎

この建物の設計者は、日本近代建築の巨匠『前川國男』です。日本の各地で公立美術館や博物館の設計をされた方で、福岡市美術館もそのうちのひとつです。

ちなみに館内のこのような家具や、

撮影:エスエス上田新一郎

照明も開館当初から残る、前川國男の監修を受けたものになります。

どれも風情のあるレトロな色合いですね。開館から40年以上経っているのこんなにも色褪せていないなんて・・・。流石に機能的な劣化はあると思うんですけど、どこかで改修したんですか?

撮影:エスエス上田新一郎

6年の準備期間と2年半にわたるリニューアル時に家具の多くは、修理し、再利用しています。

もちろん家具だけではなく、建造物を全体的に改修したのですが、前川建築を象徴する重要な要素のエスプラナードをはじめ、建築意匠を継承しながら機能を一新しました。

準備から合わせると8年半もかかったんですね・・・!!

前川國男の建築意匠を継承するという前提のもと、展示・保存施設は言うに及ばず、 各種講座室やアメニティ施設も全面的に更新するための長期の検討を重ねて、 2019年3月21日にリニューアルオープンしました。

収蔵品を後世に残すのも、徹底した管理と美術館の努力があってこそなんですね。

美術情報コーナー

こちらは美術情報コーナーで、美術図書や雑誌、他館の展覧会チラシなどを置いています。情報端末機では蔵書や所蔵品を検索できるなど、さまざまな情報を得ることができます。

全部でいくつくらいの所蔵図書があるんですか?

美術全集、雑誌などが全部で約1000冊あります。持ち出しはできないので、みなさんここのコーナーで読みながらゆっくり過ごされています。

休日にまったりと一日中過ごすのにとても良さそうです。まったりしすぎてお腹空きそうですが・・・

当館にはカフェやレストランも併設しており、美術鑑賞や公園散策の合間に、お気軽にお立ち寄りいただけます。

カフェ&レストラン

こちらがカフェ『アクアム』です。ガラス張りでとても眺めがいいんですよ。

うわー!お洒落ですね!すごく素敵な空間です。
おすすめのメニューがあれば是非教えてください!

大濠シュー ¥420(税別)

おすすめはこの『大濠シュー』です。八女星野産の抹茶に九州産の牛乳で作った生クリームを乗せています。抹茶は大濠公園の新緑を表しています。

おお・・・なんと美味しそうな・・・建築と自然がつくる空間に溶け込んでますね。まるでシュークリームも美術品のようです。

レストラン『プルヌス』は二階なので、カフェとはまた違った視点から大濠公園を眺めることができます。

エスプラナードも一望できますね!レストランはどのようなメニューがあるのでしょう?

松花堂弁当 ¥2,500(税別)

四季の食材を使った和洋中が入ったこちらの松花堂弁当が人気です。せっかくの景観なので、夕日や夜景とともに味わうワインもおすすめです。

美術館って展示だけのイメージでしたが、カフェやレストラン、建築物や大濠公園も含めて全てが美術的空間を作っているように思えます。夕日や夜景とともに味わうワインなんかがとても象徴的です!

ミュージアムショップ

こちらはミュージアムショップです。美術作品をモチーフにした雑貨やポストカードなどを販売しています。

美術館のショップって独特な商品が多いのでショップまで含めて美術館という印象があります。このなかでも特に人気の商品って何かありますか?

イチオシのキャラクター『こぶうしくん』は評判がいいです。パキスタンで出土した紀元前2000年頃のコブウシ形土製品がモチーフになっています。

これは可愛い・・・!!!キーホルダーサイズもありますね。

ミュージアムホール

こちらは、ミュージアムホールになります。美術に関する講演会に 加え、演奏会や映画上映会、落語などで使用されています。

撮影:エスエス上田新一郎

広いですねー!ここでのイベントは美術とはまた違ったジャンルなんですね!

はい、美術館とはまた別の角度で来館していただくきっかけにもなっています。

福岡市美術館そのものが美術でした

2019年にリニューアルした福岡市美術館は昔から馴染みのある方にとっては、懐かしさと新しさの両方を体験できるでしょう。

大濠公園の淵にたたずむ前川建築の空間に触れ、美術鑑賞をとおして時代を巡る体験もまた素敵な休日の過ごし方ですね。

福岡市美術館は、美術館そのものが美術でした。

ギャラリーツアーやワークショップなどのイベントも多数企画しているので、読者のみなさまには是非ご参加いただきたいです。

福岡市美術館の施設情報

営業時間

9:30~17:30(最終入館17:00まで)

7月〜10月の金・土曜日は午前9時30分〜午後8時

カフェ / レストランの営業時間は コチラ からご確認ください。

休館日

月曜日 / 年末年始

月曜日が祝日・振替休日の場合はその後の最初の平日
年末年始休館期間は12月28日~1月4日

コレクション展 / 企画展 観覧料金

一般 200円(150円)
高大生 150円(100円)
中学生以下 無料

・()内は20名以上の団体料金

・特別展は展覧会によって料金が異なります

 

アクセス:福岡市中央区大濠公園 1-6
・車

西公園ランプ (唐津方面行きのみ降車可能)で降車、南方向へ車で5分

百道ランプ(東西両方向降車可能)で降車、南東方向へ車で10分

・電車

福岡空港駅→ [空港線15分] → 大濠公園駅
(福岡市美術館口) → [徒歩10分] → 福岡市美術館

天神南駅 → [七隈線8分] → 六本松駅 → [徒歩10分] → 福岡市美術館

・バス

博多バスターミナル → [30分] → 福岡市美術館東口 → [徒歩3分] → 福岡市美術館

 

取材・執筆:KOH