熊本県

御船町恐竜博物館

御船町恐竜博物館は国内に2箇所しかない恐竜博物館のひとつです。保管されている資料は約1万6000点。19体の恐竜骨格標本など見逃せない展示物ばかりです。

子どもからマニアまで大興奮!19体の恐竜標本に出会える「御船町恐竜博物館」へ行ってみた

御船町恐竜博物館は人類の財産である恐竜化石を後世へ伝える場所でした。


御船町恐竜博物館前バス停から徒歩1分。

御船町恐竜博物館は人類共通の財産である、恐竜化石コレクションを収集している博物館です。

白亜紀の地層を観察したり、

迫力ある19体の恐竜を見たり、

標本作製の作業を見学することもできるんです!

そんな御船町恐竜博物館の魅力を、学芸員の富澤さんに教えてもらいました!

小学1年生が発見!日本初の肉食恐竜化石・ミフネリュウ

恐竜というと、子どもが喜びそうですよね。

私も当初は子どもが楽しむ場所だとイメージしていました。ですが5年間勤務して、大人の恐竜ファンもたくさんいらっしゃることを知りました。

恐竜マニアも楽しめる場所ってことですよね。恐竜博物館って全国にどれくらいあるのでしょうか?

「恐竜博物館」という名前は全国で当館と福井県立恐竜博物館の2箇所だけなんですよ。他には群馬県の神流町恐竜センター、鹿児島県の甑ミュージアム恐竜化石準備室などで恐竜についての展示がされています。

最初の展示はミフネリュウ・・・?ここは御船町ですよね!まさか!

そのまさかです。1979年、日本初の肉食恐竜化石がここ、御船町で発見されたんです!

ちょっと待ってください。小学生が発見したんですか?

ミフネリュウの化石の第一発見者は小学1年生だったんです。見つけたのは1本の歯でした。

小学1年生が見つけたのはすごいですね。

発見した小学生の父親が理科の先生だったようです。もともとこの辺りでは貝の化石があると知られていて、貝の化石を探してたところ、まさかの大発見となりました。

恐竜化石産出量が日本一!白亜紀後期の御船層群

白亜紀って、いつだろう・・・。

白亜紀は約1億5000万年〜6500万年前です。展示されている御船層群は、白亜紀の後期に形成された地層です。熊本県のほぼ中央部に分布し、全体で2000メートルを超える厚さがあります。下部の地層は貝化石などを産出し、上部の地層は多数の恐竜化石を産出します。

昔すぎて、全く想像がつきません・・・。

本当ですよね(笑)

恐竜化石ってどれくらいあるものなんでしょうか?

国内で多様な恐竜化石を産出する地層はなかなかありません。御船層群は白亜紀後期のものでは恐竜化石産出量が日本一なんです!

すごい、日本一なんだ。御船町は恐竜の町ですね。

御船町の恐竜化石は人類にとってかけがえのない財産なんです。

そうですよね。その中で、恐竜博物館が果たす役割は大きいですね。

はい。当館は失われていく資料を収集し、後世へ確実に引き継ぐことを目的としています。御船町が有する御船層群の恐竜化石コレクションは他に例を見ないもので、それを伝えていく責任は重いですね。

恐竜化石を次世代へ伝えていくために、博物館としてどのような点を意識しているのでしょうか?

展示パネルの解説をできるだけシンプルにしています。詳しすぎると、どうしても読むのに疲れてしまうので。そのぶん、スマートフォンやタブレットで詳細な解説を読める「キュラトリアルノート」という展示情報システムを採用しています。

迫力ある19体の恐竜骨格標本

恐竜はやっぱり大迫力ですねー!

「恐竜たちの世界」ゾーンは、当館の見どころのひとつです。じっくり見ていきましょう!

どんなところに注目して、見ていけばいいですか?

ここでは「恐竜進化大行進」と呼ばれる骨格展示が中心となっています。様々な恐竜化石を観察すると恐竜の多様性や大きさ、姿勢、不思議な形態などが分かります。

圧巻ですね。

大小19体の恐竜の骨格標本です。

19体?すごい、すごすぎる・・・。

ティラノサウルスやアクロカントサウルスなど年代順に並んでいます。

恐竜化石がどのあたりで発見したのかが分かるんですね。

天草周辺からは結構化石が出土されています。

色んな部位の化石がありますね。

各部位を比較することで、恐竜がどのような生物であったのかを読み解くことができるのです。

時代ごとにも分かりやすく展示されてる。

ソルレンテス・ミフネンシスは中生代初の哺乳類化石です。

こんな光景なかなか見られないですよ!熊本まで来てよかった!

そう言っていただけてうれしいです。日本に2箇所しかない恐竜博物館なので、恐竜マニア必見です!

世界各地の化石をこれだけたくさん見られるのは、恐竜ファンの方々は鳥肌ものですね。

地球の誕生から未来までを学ぶ

展示のラストゾーンは「生命と地球」。

地球の誕生から未来まで、地球の地殻変動と生物の進化の関係を見られます。

御船町の子どもたちは、博物館に学びに来るんでしょうか?

御船町の多くの小学校では、6年生の授業で化石について学びます。校外学習で当館にお越しいただくこともあります。

標本づくりの作業が見られるオープンラボ

ここは・・・?

オープンラボです。バックヤードを解放しているイメージですね。標本やレプリカを作る生物化学室などがあります。

一般人が入っちゃいけないような気がするのですが・・・。

博物館の基盤的な役割は資料収集と調査・研究活動です。もちろん、利用者に楽しい学びや経験を提供する場所でもありますが、その楽しさを支える日常を知ってもらうことも大切という考えから、バックヤードを解放しています。

素敵なコンセプトですね。

なにか作業をしているところが見えますがこちらは?

標本から岩石を取り出す作業を行う標本作製室です。

え!これはどういうことですか?

アメリカ・モンタナ州で産出された化石の石をプリパレーターさんがクリーニングしています。

プリパレーター?

化石を綺麗にしたり、修復や復元をしたりして博物館に展示できるようにする職人のことです。研究者が研究できるような状態に仕上げることも重要で、発掘からレプリカ作成まで幅広い仕事をしています。

ロッカーですかね?何が入っているのでしょうか?

こちらは収蔵庫です。レプリカや岩石標本を含めて約1万6000点の資料が収蔵、保管されています。

収蔵庫を見学できるのはレアな体験ですね。

オープンラボはバックヤードでありながら展示の一部でもあります。さらに、利用者と館員のコミュニケーションの場にもなっているんです。利用者の知的好奇心を高めるのと同時に、博物館のありかたへの理解を広め、博物館活動への参加者の増加につながればと思います。

オリジナルグッズが買えるミュージアムショップ

見学後はやっぱりお土産選びです。

当館にはミュージアムショップがございます。第2の展示室と呼ばれ、恐竜や化石グッズを販売しています。

バッジいいですね。思い出になります。

オリジナルグッズが多く、ここでしか買えないものばかりです。来館の記念にぜひ!

御船町恐竜博物館は人類の財産・恐竜化石を後世へ伝える場所でした

御船町恐竜博物館は人類のかけがえのない財産である恐竜化石を後世へと継承すべく、細部まで工夫を凝らしている博物館でした。

大小19体の恐竜骨格標本には驚きました。今にも動き出しそうな迫力があります。

保管資料は約1万6000点。熊本を訪れた際には行っておきたい博物館です。

春には企画展、夏には特別展示も行います。地球の歴史を学びに、ぜひお越しください。

御船町恐竜博物館の施設情報

公式サイト

 

営業時間

9:00〜17:00(最終入場16:30)

 

休館日

毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始

※ゴールデンウィークや夏休み、特別展開催時などは月曜日も開館することがあります

 

観覧料

大人 高校 / 大学生 小中学生
一般
(団体料金15名様〜)
500円
(450円)
300円
(250円)
200円
(150円)
定期観覧券 900円 500円 300円

団体料金は15名様以上でご利用いただけます

※小学生未満無料(ただし保護者同伴)

 

アクセス:熊本県上益城郡御船町大字御船995-6

・車

御船ICより約10分

 

・バス

熊本駅→[熊本桜町ターミナル行き15分]→熊本桜町ターミナル→[御船方面行き50分]→御船町恐竜博物館前→御船町恐竜博物館

取材・執筆:KOH