長崎県

長崎原爆資料館

長崎原爆資料館は、被爆資料や被爆の惨状を示す写真などの展示をはじめ、原爆が投下されるに至った経過、核兵器開発の歴史、平和希求などのストーリー性のある展示を行っています。

歴史を知り真の平和について考える。「長崎原爆資料館」を取材

長崎原爆資料館は原爆の惨状を知ることで”真の平和”について考えさせられる施設でした。


1945年8月9日 午前11時2分、長崎の上空で原子爆弾が炸裂しました。

街は壊滅的な被害を受け、7.4万人の人々が命を落としました。生き残った人々も身体に損傷が残り、今でも多くの被曝者が苦しんでいます。

 


原爆資料館駅から徒歩4分に位置する長崎原爆資料館は、原爆被爆50周年記念事業の一環として、長崎文化会館を建て替えて開館しました。

そんな長崎原爆資料館には悲惨な歴史を受け止め、真の平和について考えさせられる展示の数々があります。


被爆の惨状を物語る遺物を展示したり、

被爆した長崎の街の様子を模型にマッピングしたり、


被曝者の証言を聞いて理解を深めることもできます。


そんな長崎原爆資料館の見どころを、担当の鍋島さんに教えてもらいました!

時を遡るスロープが美しいエントランスホール

展示室に入る前から壮大なスロープですね!

このスロープの壁面には4桁の数字あり、展示室の入り口に近づいていくほどカウントダウンします。

この数字は西暦ですね!

はい、展示室入り口までスロープを歩み進めるごとに、原爆が投下された1945年まで5年刻みで数字が近づいていきます。スロープを降りながらタイムトラベルするような設計になっているんですよ。

被曝直後の長崎の惨状を再現した常設展示室

《永遠の11時2分》

ここからが展示室になります。

「長崎を最後の被爆地に」。このメッセージに資料館のコンセプトがグッと凝縮されていますね。

それに、この時計は爆心地から約800mの民家にあったもので、原爆投下がされた時刻である11時2分を指したまま止まっています。

歴史を物語る展示ですね。

《旧制瓊浦中学校の給水タンク》

最初のコーナーは原爆投下による長崎の惨状を再現し、原爆の破壊力や恐ろしさを伝えています。

これは一体なんですか?

この足の曲がった給水タンクは、爆心地から800mの距離にあった旧制瓊浦中学校に立っていたものです。レプリカではなく、修繕をした現物を展示しています。

また、あちらの赤レンガ造りのものは爆心地から北東へ約500mの地点にあった浦上天主堂の南側入口の再現造型で、当時は東洋一といわれたカトリック教会の大聖堂でした。

同じキリスト教を信じる人々が、キリスト教徒の集まる浦上に原爆を落とし、教会・マリア像を破壊したことはとても衝撃的な出来事です。

たしかにそれは衝撃的です。現存していたらきっと世界遺産になっていたでしょうね。

被爆した街を空の視点から見る長崎地形模型と遺物の数々

こちらのコーナーでは被爆した長崎の街や熱線による被害を伝える遺物などを展示しています。

大きな模型がありますね。これはどのような展示なのでしょうか?

《長崎地形模型》

こちらの地形模型はプロジェクションマッピング技術によって模型上に火球、熱線、爆風、火災、放射線の面的な広がりをカラー映像でわかりやすく表示しています。

これはわかりやすいですね。土地勘がある地元のひとほど被害の広がりに実感がわきそうです。

《ファットマン》

この黄色いロボットのようなものはなんですか?

これが『ファットマン』と名付けられた長崎型原爆の実物大模型です。

実物大ですか!?被害の規模からして想像ではトラックくらいの大きさはあるものだと思っていました。

当館はそのように、展示を通して原爆をより知っていただくきっかけを作っているんです。

次にケースの中の展示ですね。これらの展示は寄贈いただいた遺物の数々です。

このような遺物ってほとんど地元の方々からの寄贈品なのでしょうか?

そうですね、開館当初は被爆者のみなさんが横で繋がっていることもあり、たくさんの寄贈をいただきました。今でも被爆物の検査から寄贈に繋がることがあります。

また、最近も土地を掘ったり工事をすると遺構は出てきますね。

爆心地のほぼ真下に位置する長崎原爆資料館の近辺も、高い確率で遺構が出てきます。

こちらに展示している絵画《被爆者救援列車》には、当時の様子が描かれています。

どのような意図やストーリーがあるのでしょうか?

この絵は当時機関士だった作者が長崎県肥前山口駅で原爆投下を知り、救援列車を爆心地近くの踏切まで乗り入れた時の状況をご本人が描いたものなんです。

すごい行動力・・・!!!機関士さん本人が描いているというのもまたメッセージ性が強いですね。

核兵器のない世界を目指して学ぶ戦後の年表

続いてのゾーンでは、核兵器開発の歴史や戦後の国際情勢、世界の反核運動などを年表によってわかりやすく展示しています。

長崎に原爆が投下された日から現在までに、核弾頭やミサイルは時代による技術の発達とともに精度が上がり、小型化しています。ここではそんな中で繰り返される核実験の回数や、現代の核兵器に関する情報を映像資料で解説しています。

修学旅行でいらしてる学生さんたちも熱心な表情です。情報が充実しているので教科書で学ぶ以上の体験がありますね。

若い世代へ被爆体験を継承するビデオルーム

こちらのビデオルームでは原爆記録映画の上映しています。

米国戦略爆撃調査団が撮影した原爆の被災記録を編集した映画「ながさき原爆の記録」や、若い世代へ被爆体験を継承するため、被爆35周年事業で長崎市が長崎県と共同で制作したアニメーション「8月9日長崎」を交互に上映しています。

けっこう長い映画なのでしょうか?
いえ、気軽に立ち寄って観ていただける長さですよ。「ながさき原爆の記録」は日本語のみ20分。「8月9日長崎」は英語字幕付で10分間の上映となります。

全国から集まる千羽鶴

すごい数の千羽鶴ですね・・・!!!

こちらの千羽鶴の展示場所には直接お持ちいただき自由に掛けていただくことができます。宅急便で送っていただく方もいますし、ここは特に多くの人々の想いのこもったスペースですね。

長崎原爆資料館は”真の平和”について考えさせられる施設でした

学校の授業やテレビ番組を観て原爆の歴史を理解したつもりになっていましたが、長崎原爆資料館での展示を通して『何も知らなかった自分』と『伝えなければいけない歴史』に気付くことができました。

ふだん考えることのない”真の平和”について、過去を知り未来を見つめ直す機会にもなりました。

普段の生活で平和を感じることも少ないですよね。長崎原爆資料館は平和について考えることのできる数少ない場所です。全国各地から届く千羽鶴もそうですし、想いのこもった場所なんです。

企画展や平和祈念式典も開催しているので、ぜひ訪問の機会にしていただけたらと思います。

長崎原爆資料館の施設情報

開館時間

・4月、9月~翌3月:8:30~17:30 (最終入館17:00)

・5月~8月:8:30~18:30 (最終入館18:00)

・8月7日~9日:8:30~20:00 (最終入館19:30)

 

休館日

12月29日~12月31日

※図書室、ホール:12月29日~1月3日

 

観覧料(地下2階)

一般 小中高生
個人
(団体料金15名様〜)
200円
(160円)
100円
(80円)

※()内は15名様以上の団体料金

※小学生未満の方は無料

※団体料金の人数は、有料の方が対象

 

アクセス:長崎県長崎市平野町7-8

・車

長崎空港から約50分

長崎自動車道「長崎多良見IC」から長崎バイパスへ→「川平IC(平和公園・昭和町方面)」出口より市内中心部方面へ約5分

 

・電車

長崎駅 → [路面電車長崎電軌道3号系統/1号系統10分] → 長崎原爆資料館

 

・バス

長崎駅 → [リムジンバス長崎空港線10分] → 浜口町 → 長崎原爆資料館

取材・執筆:KOH