大分県

大分県立美術館

大分県立美術館は無料で鑑賞できるアトリウムも充実している「ふだん美術館に行かないような人も引き寄せられてしまう美術館」。情報コーナー、カフェやミュージアムショップ、有料展示のコレクションなど魅力もいっぱいです。

大分県立美術館(opam)は温泉だけじゃない!気軽な入りやすさが魅力

「ふだん美術館に行かないような人も引き寄せられてしまう美術館」というコンセプトの大分県立美術館。無料で鑑賞できる展示も多く、気軽にしっかりアートを満喫できる空間でした。


大分県立美術館(opam)へのアクセスは、


大分駅から徒歩14分!

ここは、ふだん美術館に行かないような人も引き寄せられてしまう美術館です。

展示室以外にも多くの見どころがあり、

ガラス張りの外観で中の様子がわかるようになっていたり、

天庭(あまにわ)のインスタレーションを鑑賞したり、

様々なメニューを揃えたカフェを利用することもできるんです!

そんな大分県立美術館の魅力を、学芸員の菅野さんに教えてもらいました!

美術館のイメージが変わる特徴的な外観

《シンボルマーク》 CDL 平野敬子×工藤青石

美術館ってなんとなく暗く静かなクローズド空間というイメージがあるのですが、大分県立美術館はなんだかとても開放的な建築ですね。サインのモニュメントもとても印象的です。

 

シンボルマークは大分県立美術館の欧文表記「Oita Prefectural Art Museum」の頭文字O・P・A・Mを用いてます。「O」は太陽を彷彿させる円のフォルムに、「A」は天に延びるような長体にし、マークに動きを取り入れて当館の特徴である可変性、拡張性、多様性の象徴化と視覚化を試みています。

また、大分県立美術館は中で何が行われているかは入ってみないとわからないことが多い美術館の印象を拭払して、ふだん美術館に行かないようなひとにも日常的に美術を楽しんでもらえるような仕掛けを建築に加えています。

世界的に注目されている日本人建築家『坂 茂』氏による設計なんですよ。

ガラス張りで外から中の様子がわかる一階のアトリウムは、フリースペースで年中無休なんです。誰でもいつでも立ち寄れる気軽さが特徴的です。

ここでは展示も行われるのでしょうか?

はい、企画展示や民間の展示を行っています。アトリウムの展示は無料で鑑賞できるので、ふだん美術館にいかない人も、美術鑑賞をするきっかけとしてハードルが低いんです。そんな当館人気の2つのアトリウムと屋外展示からご紹介します。

日蘭アート共演空間『ユーラシアの庭』

《水分峠の水草》須藤玲子

すごい大きな作品ですね!これもアトリウムにあるということは年中無休で無料で鑑賞できるのでしょうか?

はい、こちらはは『ユーラシアの庭』というテーマで展示を行っているアトリウムです。

マルセル・ワンダース 《ユーラシアン・ガーデン・スピリット》 2015年

天井から吊っている《水分峠の水草》と、卵形の《ユーラシアン・ガーデン・スピリット》も合わせて、日本のテキスタイルデザイナー須藤玲子さんと、オランダのデザイナーマルセル・ワンダースさんによる、日蘭交流の歴史にちなんだ共演作品なんです。

大分とオランダの間には歴史上の結びつきがあったということでしょうか?

1600年に現在の大分県の臼杵市に漂着したオランダ船リーフデ号が日本における初めてのオランダ船で、そこから日蘭交流が始まったんですよ。

九州とオランダといえば長崎の出島のイメージが強かったのですが、大分にはそんなルーツがあったんですね。

大分の伝統を伝える『大分観光壁』

《世界は届けい・セカイハトドケイ ー 大分の中心で家内安全を叫ぶ》ミヤケマイ

続いてこちらはアトリウム西側スペース『大分観光壁』の、ミヤケマイさん作《世界は届けい・セカイハトドケイー 大分の中心で家内安全を叫ぶ》という作品です。

「世界に届け」と「鳩時計」が掛かっていますね!

こちらは、最も小さい家、会社、地域郷土などという単位からの平和(家内安全)を実行し、家に鳩(平和)を呼び戻そうというコンセプトがあるんです。

刻々と変化するインスタレーション『天庭』

三階のロビー空間を彩るこちらは天庭(あまにわ)と言って、大分県立美術館の特徴的なインスタレーションです。天気によって雰囲気が変わってとても美しいんですよ。

陽の差し込みが美しいです!

天井の木も特徴的ですね。外観もこのような雰囲気でしたが、どのようなコンセプトがあるのでしょうか?

この天井は、大分の伝統工芸である竹細工の6つ目編みをイメージした大分の杉の木なんです。外観もまた竹細工をイメージしていて、大分の文化的特徴を反映しています。

空が見える建築と工芸が溶け合ってますね。

写真ではわかりにくいと思うんですけど、波うっている曲線美もまた美しいですね。

大分県の土から色を作る、ザ・ピグメント

こちらは大分県の石を砕いて10,000色を顔料制作を目指す『ザ・ピグメント』というプロジェクトのもとで作られた顔料を展示しています。

石から10,000色ですか・・・!すごい大がかりですが、だからこそ楽しそうです!

大分県は地質学上、石の種類がとても多い土地なんです。加工方法によっても色が変わるので、10,000色と聞けば不可能にも思えますが、実はそうでもありません。

並ぶとすごい綺麗ですね!

大分県立美術館では教育普及にも力を入れていて、地域の小中学校でも顔料を制作するワークショップ等を行っています。

情報コーナー

情報コーナーには書籍を置いていて、展覧会に関連する多くの書籍を常に入れ替えています。

インテリアが特徴で素敵ですね・・・!

全部ではないですが、椅子やテーブルなども建造物と同じく坂 茂氏の設計なんです。

 

コレクション展示室

ここからが常設展示です。年に5〜6回テーマがかわって、企画展も多くて流動的です。ここからは有料ですね。

ということは、ここまでに通ってきたエリアは全て無料ですか?

はい、当館は無料で鑑賞できる範囲がとても広いんです。

いまは年末の帰省シーズンなので、家族、ひと、人生をテーマとした展示を行ったり、

景色をテーマにした展示も行っています。

こちらの部屋では大分の洋画を展示しており、戦前の時代から明治維新にかけて服装などの変化が描かれています。

大分の洋画界は、帝展や日展で活躍した具象系の画家たちと、在野の美術団体で独自のスタイルの確立に挑んだ画家たちとに分かれるんですよ。

当時の雰囲気がまるで写真記録のように残されていて作品の数々から時代の流れを感じます。

Cafe Charite

美術館の施設内にはカフェもあるんです。カフェだけでも立ち寄れますよ。

カフェ店内も美術的な空間ですね!

こちらのカフェの紙管で作られた椅子や装飾も坂 茂氏の設計なんです。

外観からカフェまで統一された美術空間でずっと過ごしていられそうです。

ミュージアムショップ

こちらはミュージアムショップです。基本グッズと企画グッズがあって、企画グッズは企画展に関連したグッズが並びます。

たくさんありますね!中でも特に人気の商品とかありますか?

当館オリジナルグッズと言いたいところですが、企画展の関連グッズが一番人気です!

期間限定の展示って、なにかの形で手元に残したくなるのわかります。

大分県立美術館は地域の伝統や文化を凝縮したアート空間でした

大分の伝統工芸の要素を取り入れた坂 茂氏の建築設計は、まるでリビングのような親しみのある空間でした。

ガラス張りで館内が見えるデザインに、無料で鑑賞できる展示も多く「ふだん美術館に行かないような人も引き寄せられてしまう美術館」というコンセプトを肌で感じることができました。

コンセプトの通りに ”ふだん美術館に行かないような人” に足を運んでほしい施設です。

魅力的な展覧会もたくさん開催しているので、ぜひ情報をご確認ください!

大分県立美術館の施設情報

 

営業時間

10:00~19:00(最終入場は閉館の30分前まで)

※金曜日、土曜日は20:00まで

 

休館日

原則無休(館内点検等による臨時休館を除く)

 

コレクション展観覧料

一般 高校・大学生
個人
(団体料金20名様〜)
300円
(250円)
200円
(150円)

団体料金は20名様以上でご利用いただけます

※中学生以下は無料

※高校生は土曜日に観覧する場合は無料

※県内の小中高校生(これらに準ずる者を含む)とその引率者が教育課程に基づく教育活動として観覧する場合は無料(要申請)

※学生の方は入場の際、学生証を提示

※企画展は別料金

 

アクセス:大分県大分市寿町2-1

・車

大分ICより約10分

■屋外駐車場(143台)
■地下駐車場(107台(うち車いす用8台))

・バス

大分駅→[大分交通バス 青葉台線23番、24番 / 県立図書館線3番 / スカイタウン高崎線8番]→オアシスひろば前→大分県立美術館

取材・執筆:KOH