埼玉県

埼玉県立 川の博物館 かわはく

「埼玉県立 川の博物館 かわはく」は、川や治水について楽しみながら学べる体験型博物館です。敷地内には日本一大きい大水車のほか、ウォーターアスレチックや噴水広場など子どもが遊べる施設も充実!遊んで学んで川を体感することができます。

楽しみながら学べる体験型博物館「埼玉県立 川の博物館 かわはく」で川を体感してきた!

楽しみながら学べる体験型博物館「埼玉県立 川の博物館 かわはく」を取材!川が流れる屋内展示室や、治水について学べるウォーターアスレチックなどを体験してきました。


突然ですが、日本一大きな「水車」ってどのくらいの大きさかご存知ですか?

正解は、これくらいです!!!

このとんでもなく大きい水車があるのが、埼玉県寄居町にある「埼玉県立 川の博物館 かわはく」です。入場口に立つとこの大水車がお出迎えしてくれるのですが、あまりの大きさに圧倒されること間違いなし!

川や治水に関する様々な展示や施設があり、楽しみながら学べる体験型博物館となっています。

ウォーターアスレチックや噴水広場など、子どもが遊べる施設も充実しているのでレジャーとしても楽しめます。

かわはくマスコットキャラクター カワシロウ

今回は、かわはくのマスコットキャラクターであり、広報部長という肩書を持つカワシロウにかわはくの魅力について案内してもらいました!

かわはくのシンボル!日本一大きな「大水車」

本日はよろしくお願いします。まずは、かわはくの概要について教えてください。

はい、かわはくは、河川や水と人々の暮らしとの関わりについて理解してもらうことを目的とした体験型博物館です。様々な展示や体験学習を通して、川や治水について楽しみながら学ぶことができます。

博物館の正面に川があると思っていたら、敷地内にも川が流れていて驚いたのですが、あれも本物の川なのでしょうか?

かわはくの模型。中心を縦に流れているのが宮川、かわはくの正面を流れているのが荒川

博物館の正面には荒川、敷地内には宮川が流れています。もちろん本物の川ですよ!

それにしても、大水車の迫力はすごいですね。

大水車はかわはくのシンボルとして、博物館の開館に合わせて制作されました。直径は24.2mあり、日本一大きい水車となっています。

それにしては、ちょっと新しく見えるような気がするのですが?

実は、誕生20周年を迎えた2017年に改修工事が行われ、2019年に今の姿となりました。木材は埼玉県産のヒノキを使用しています。大工さんが丁寧に作ってくれたので、こんなに大きいのに少しの水量で回すことが出来るんですよ!

このサイズを少量の水で回せるのはすごい!

しかし、こんなに大きいと改修するのも大変そうですね。改修工事に数年かかってしまうのも納得です。

かわはくには、大水車のほかにも様々な水車があります。まずは、実際に使用されていた水車小屋が展示されている「水車小屋広場」を案内しましょう。

よろしくお願いします!

水車の仕組みが学べる「水車小屋広場」

こちらは東秩父村で昭和20年頃まで稼働していた精米水車です。その名の通り米を精米するのに使用されていました。

日本庭園の茶室みたいで可愛い!

そうなんです!手前のもみじが紅葉するともっと雰囲気が良くなるので、写真映えスポットとしてもオススメです。

なんだか、小屋の中からガッコンガッコンすごい音が聞こえてきますね。

水車と連動した臼が上下に動く音ですね。水車は実際に水によって動いているので、小屋の中を見ればどのように水の力が利用されているかよく分かると思います。

そういえば初めて水車小屋の中を見ました!水車が水の力を利用していることは知っていましたが、こうやって動いていたのか……。

こちらは皆野町で昭和35年頃までコンニャクのアラコ挽きに使用されていた水車です。

大きいですね!そして金属でかっこいい!

これだけ大きい金属製の水車は、なかなか珍しいと思います。先程の精米水車とは違い、ベルトや歯車を用いた近代産業的な構造になっています。

電気やガソリンを使わずにここまで複雑で大規模な機械を動かしてしまうなんて!水車のイメージが変わりました。

遊びながら学べるウォーターアスレチック「荒川わくわくランド」

こちらは遊びながら治水や水の性質などについて学べるウォーターアスレチック施設、「荒川わくわくランド」になります。

これはもう、子どもが絶対に喜ぶエリアですね。

遊べるだけでなくて学習要素もあるんですよ。例えばこちらのアスレチックは、坂の部分が堤防になっています。

本当だ!坂の部分が4種類の堤防になっていますね。アスレチックと堤防が違和感なく融合している見事なデザイン!

これは堤防の移り変わりを表しているんです。左から右の堤防へと変化してきました。

昔は木材で護岸していたんですね。

堤防の前には何やらいろいろな装置がありますが……?

ここは人間がどうやって川の流れを治めてきたかを、装置を使って実験することができるエリアです。青い水門がダムになっているので、水を放流しての川の流れの変化を体験できますよ。

こちらの装置は、川に対して垂直に伸びる堤防である横堤を模したものです。横堤は洪水などの際に、下流の流れの勢いを軽減させる効果があるのですが、この装置ではその効果や水圧などを実際に体験することができます。

ぜひ、体験させてください!

それでは、上流のダムから一気に水を流しますので、鎖を引っ張って横堤を垂直にしてください!

おおっ!ダムから一気に水が流れてくると、かなりの水圧がかかるっ!

そして確かに下流の流れが軽減されていますね。これは横堤の効果がよくわかります!

ほかにも、遊んで学べる遊具がたくさんあります。こちらは子どもが乗って遊べるボートなのですが、先端の形を見てください。

あ!先端の形状がそれぞれ異なっていますね。

ボートの形状によって水の抵抗の違いが体験できるようになっているんです。

ちゃんと学習要素が散りばめられている……!

ほかにも、空気圧で遠くの的に水を当てる水鉄砲「ガッチャガン」や、

 

浮力の体験ができる「ふらふらフロート」など、

(これは思っていたより沈んでスリリングだった……)

遊んで学べる遊具がたくさんあります!

子どもにとっては天国みたいな場所!

4歳未満の小さいお子様向けの「ちゃぷちゃぷ島」と「たきたき島」もあります!くるぶしくらいまでの水がはってあり、中で自由に遊べます!

学習要素ばっかりの博物館だと子どもが飽きてしまいますが、かわはくならその心配は無用ですね!

大水車だけじゃない!かわはく自慢の3大シンボル

いや~しかし、展望台から見てみると、改めて大水車の大きさがよく分かりますね。さすが日本一大きい水車、自動車が小さく見えてきます。

実は、かわはくには大水車のほかにも日本一があるんです。

え?日本一がほかにもあるんですか?

はい!それがこちらの「荒川大模型173」になります。荒川の源流から河口(東京湾)までの流れと荒川周辺の地形を1000分の1に縮小して表現した立体模型で、地形模型としては日本最大の大きさです。

展望台から見ても大きすぎて全景が視界に収まらないですね!

間近で見てみると、立体になっているおかげで荒川が山から海に流れていくまでの地形がよく分かります。

そうなんです!普通の地図では分かりにくい地形を直感的に理解することができます。平野部には橋やスカイツリーなどの模型があるので、ぜひ探してみてください。

あ!かわはくの模型がありますね!

え!?かわはくってこんな平野の方だったの!自然豊かな場所だからもっと山の方にあるかと思っていたけど、全然そんなことはなかった……。

かわはくは荒川から見ると中流域で、山間部と平野部の変わり目あたりに位置しています。「荒川大模型173」を見ると、そういった地形の変化の様子がよくわかると思います。

いま自分がいる場所を宇宙から覗き込むように俯瞰して見られるのはなかなかおもしろいですね!

終点は東京湾!レインボーブリッジの模型もあります!

まさか日本一が2つもあるとは驚きました。

いえ、かわはくにはもう一つ、日本最大のものがあるんです。

え!?日本最大集めすぎじゃないですか!?

本館外壁に、川合玉堂という日本画家の作品「行く春」を、長さ21.6m、高さ5.04mの大陶板画にして展示してあります。屋外に展示した日本画の大型美術陶板としては、日本一の大きさです。

やっぱりでかい!

ちなみに「行く春」は荒川にうかぶ船車を描いた作品で、重要文化財にも認定されています。

3つも日本最大があるのもすごいし、3つすべてが川関連というこだわりっぷりもすごい……。

屋内なのに川が!?体感型博物館で川を体感!

ここからは本館の屋内エリアを案内していきますね。本館第一展示室では、「荒川と人々のくらしとの関わり」をメインテーマに様々な展示やイベントを行っています。そして基本的に展示資料には自由にふれてOKです!

実はこの展示室には、博物館らしからぬものがあるのですが、なんだか分かりますか?

あのー、さっきからすごい水の音がしているのですが、ひょっとして……?

サアアアァー……

チョロチョロ……

そうです!正解は川です!

屋内なのに!?博物館って湿気とか嫌いそうなのに!?

さすが川の博物館、川そのものを展示しちゃうなんて……。

この川沿いには船車、荷船などの大型復元模型を設置しています。船にも乗っていただけるので、ぜひ体験してみてください。

展示物の船に実際に乗れるのは嬉しい!子どもも喜びそうですね。

そういえばこの水車がついている船は外で見た日本画「行く春」にも描かれていましたが、一体どういった船なのでしょうか?

これは船車といって、水車小屋が乗った船になります。船になっているので水車小屋ごと移動することが可能で、農家のもとまで船車で移動しそのまま農家に小麦の製粉工場として貸し出したり、農家の代わりに粉引き作業を引き受けたりしていました。

まるで水車小屋のデリバリーサービス!

水がないと使えない水車と川でしか使えない船は、ある意味相性が良かったんですね。

洪水時に避難させられるメリットもあったようです。

こちらは荒川で物資の輸送に使われていた荷船という船になります。こちらの船も乗っていただけますし、解説イベントも行っています。

この狭い小屋のような場所で寝泊まりしていたんですか?

はい、荒川を下るときは上流から東京まで1日で行けたのですが、帰りは上げ潮や海風を利用しながら5日前後の日数がかかったそうです。

この狭い空間に2人で何日もいるのは、相手との相性がすごく重要になってきますね……。

荷船はどのような物資を輸送していたんですか?

農産物や海産物などを運んでいました。中には、肥料に使うための糞尿を運んでいた肥船もありました。

逃げ場がなさすぎる……。

迫力満点の鉄砲堰実演イベント

展示室に入った時から気になっていたのですが、このダムのような模型はなんですか?

こちらはかつて大山沢にあった鉄砲堰を4分の1のサイズで再現したものになります。

鉄砲堰?

林道ができてトラックが使われるようになるまで使用されていた、せき止めた水を一気に流して山から木材を運び出す方法です。切り出した木材を下流まで押し流し、その後は木材をイカダにして河川で運搬していました。

なんとも豪快な運搬スタイルですね……。せき止めた水を一気に放流するのはすごい迫力がありそうです。

実は、その放流の瞬間を体感できる実演イベントを実施しているんです!

えー!ぜひ体感させてください!

イベントスタッフさん
およそ2トンの放水を行います!一瞬ですので、お見逃しのないようお願いいたします。

(さすがに屋内だしそんなに激しくないんじゃ……)

ドドドドドドドド!!!

うおおおおぉ!!

どうでしたか?

すごかったです。

実演イベントのスケジュールはパンフレットや公式サイトに記載されているので、お越しの際はぜひチェックしてみてください。

アドベンチャーシアター かわせみ号

本館には展示室のほかに、大画面に連動して座席が動く「アドベンチャーシアター かわせみ号」もあります!

実際に体験させてもらいましたが、博物館のシアターだからそんなに動かないかな?と思っていたらなかなかスリリングで驚きました……。

それにしても、屋外だけでも結構なボリュームがあったので、屋内の施設も組み合わせるとかなりじっくり遊べそうですね。

はい!ほかにも期間限定の企画展やワークショップなどを開催していますので、みなさん是非お越しください!スタッフ一同お待ちしております!

本日はありがとうございました!

埼玉県立川の博物館 施設詳細・アクセス・駐車場

■公式サイト
https://www.river-museum.jp/

■営業時間
・通常期
9:00~17:00

・夏休み期間
[平日]9:00~17:00
[土・日・祝・8/11~8/15]9:00~18:00

・休館日
月曜日 / 年末年始(12/29~1/3)
(祝日・振替休日・県民の日・夏休み期間は開館)

■料金
・入場料 一般 410円/学生 200円/中学生以下 無料
・荒川わくわくランド 高校生以上 210円/中学生以下 100円
・アドベンチャーシアター 高校生以上 430円/中学生以下 210円

■アクセス
・自動車 関越自動車道花園インターチェンジより8分
・電車 東武東上線 鉢形駅より徒歩20分

■駐車場
あり(普通車:300円 バス:1030円)

 

取材・執筆シュゴウ