大分県

別府市竹細工伝統産業会館

別府市竹細工伝統産業会館は伝統的工芸品に指定されている別府竹細工の魅力を伝える活動をしています。生活用品からインテリア用品、美術工芸品など、竹細工の様々な魅力を感じられます。

日本の竹の奥深さに気づく「別府市竹細工伝統産業会館」へ行ってみた

別府市竹細工伝統産業会館は竹の魅力を再発見できる空間でした。


別府駅西口から車で約10分。

別府市竹細工伝統産業会館は別府竹細工の魅力を伝える場所です。

職人のつくった竹細工を見学したり、

竹を眺めながらコーヒーを飲んだり、

工芸作家の作品を買うこともできるんです!

そんな別府市竹細工伝統産業会館の魅力を、館長の宮坂さんに教えてもらいました!

随所に竹のインテリア!竹細工の様々な魅力を知る

入り口からいきなり巨大な竹細工が!

こちらは「雲龍」という作品です。中心の丸い部分は龍が天に登っていく姿、周囲は雲を表現しています。田辺信幸さんが半年かけて製作されました。

半年も!情熱と根気の詰まった大作ですね。

そうですね、非常に高い技術を施した作品です。

こちらは?

竹のお駕籠です。

これもまた大きいですね。まるで木製のような素材感のせいか、竹にしては重厚な印象です。

そうなんです。使用している竹は虎斑竹(とらふちく)と呼ばれる虎の模様のように見える竹と、孟宗竹(もうそうちく)が使われています。孟宗竹は春に食べるタケノコとして有名ですが、厚みが必要な材料を作る時などに使われます。このお駕籠は腰掛けることができ、記念写真を撮られる方も多いです。大柄な外国人の方でも入れるように本来のお駕籠より大きく作られています。

竹にもいろんな特徴があるんですね!

あらゆるところに竹がある・・・。完全に空間に溶け込んでいます。

竹の色彩は自然とよく調和します。美術工芸品だけでなく、生活用品やインテリア用品としても竹は重宝されます。

竹のアーチもお見事です。

こちらのアーチにはマダケが使用されています。マダケは日本の栽培竹林の6割を占める竹で、別府竹細工の主要な材料なんです。

バンブーハットにエジソンの白熱電球。意外と身近な竹製品

竹の帽子は初めて見ました。これはいつ頃作られたものなのでしょうか?

こちらのバンブーハットは1950年、海外向けに製作されました。通気性が良くて軽いのが特徴です。

続いては「エジソン竹フィラメント白熱電球」という展示です。

エジソンってあのエジソンですよね?

そうです、だれもが知るあのエジソンです。

展示している白熱電球は、エジソンが開発したものではなく、復刻されたものです。

エジソンの発明した白熱電球のフィラメントには、実は京都のマダケが使用されていたんですよ。

そうだったんですか!遠くの国の歴史的な発明と思っていましたが、日本の竹が一端を担っていたんですね。

ところで、なぜフィラメントを竹でつくる発想になったのでしょうか?

フィラメントの利用において様々な植物を試したところ、竹が最も耐久性が良いことが分かったんです。それから世界中に調査員を送って調査したところ、京都のマダケが条件に一致し、耐久性も良質だったため大量購入して、製作したそうです。

なぜ京都の竹の耐久性が高かったんでしょうか?

地質が粘土質だったのが耐久性の高さにつながったと言われています。耐久時間はおよそ1500時間で、この展示品は1994年の開館時から一度も切れていないんです。

それはすごいですね!

大分県はマダケの生産量日本一

竹の種類によって、色が全然違うんですね。

竹・笹類は世界に1200以上あり、そのうち半分以上は日本にあります。竹を研究している先生方によると、地球温暖化によって竹は以前よりも柔らかくなったそうです。

地球温暖化は本当に様々な影響を与えているんですね。

別府竹細工でよく使用するのが、節が少なく繊維が細かいマダケです。大分県はマダケの生産量が日本一なんです。

日本一!別府で竹細工が伝統的な理由のひとつですね。

一方でモウソウチクは肉厚で、タケノコが食用になります。

良質な材料でつくる伝統的工芸品

ここは竹細工の技法について展示されているコーナーです。

竹細工はヒゴ作りが作業の約8割を占め、「ヒゴ取り3年」という言葉があるほど、適正なヒゴを作れるようになるまでに3年の修行が必要と言われています。

竹細工の作品がこんなにたくさん・・・!

どれも名工と呼ばれる方々の優れた技法による作品ばかりです。大分県で唯一、経済産業大臣に指定された伝統的工芸品である別府竹細工を伝承していくため、多くの方々に見ていただきたいです。

伝統的工芸品である別府竹細工の特徴はどのようなものですか?

いくつか特徴はありますが、別府竹細工は編む・組むといった技法が大きな特徴です。編組(へんそ)と呼ばれる200種類以上もある編み方を駆使して製作します

こちらでは何を紹介しているのですか?

竹工芸で初めて人間国宝になった生野祥雲斎を紹介しています。生野祥雲斎は、当時農具や台所用品などの日用品しか作られていなかった竹で、オブジェを制作するようになった事で竹細工を美術工芸の竹工芸へと昇華した功績を認められました。

人間国宝ってすごいですね!竹細工の職人さんは現在もたくさんいるのでしょうか?

現在はどちらかというと職人よりも作家が増えているように感じます。それぞれの得意分野があり、特徴もあるので、作品をみると作り手が誰かがわかることも多いです。

若い世代のひとにも竹細工の魅力がもっと広まって、文化継承が途絶えないように繁栄しないとですね・・・。

竹は酸化すると茶色くなります。経年劣化で色が変わるのも竹細工の魅力の1つなんです。まずはぜひ多くの方に遊びに来てもらい、別府竹細工について知ってもらいたいです。

別府竹細工の技術を継承するため教室やワークショップを開催

2階にはどんなものがあるのでしょうか?

2階フロアには「サロン工房」があり、別府市民を対象にした「竹の教室」などを開催しています。本日開催されているのは「後継者育成事業」というもので、全国で唯一となる竹工芸の職業訓練校、「大分県立竹工芸訓練センター」の訓練生が伝統工芸士から技術を教わっています。「竹の教室」「後継者育成事業」が開催されている日は作業の様子を見学していただく事ができます。

竹の教室はどのくらい学ぶんですか?

最大5年間通うことができます。6月~翌3月まで月に4回、一年間で約40回開催されます。

こちらはどのような訓練をしているのでしょうか?

「四つ目崩し」の練習です。訓練の段階なので、順番をしっかりと確認するために色分けをしています。

時間をかけてしっかり教わることができるんですね。次世代の竹細工職人がここから排出されるのが楽しみです!

こちらは研修室ですね。

研修室では一般の方、学生などの体験学習を実施します。

貴重な技術を将来世代に受け継いでいくために、このような活動は大事ですよね。

おっしゃる通りです。「竹鈴」と「四海波花籠」の製作は、通常メニューとして事前予約を頂ければいつでも体験することができます。

最近は月に一回程度スペシャルワークショップを開催しており、毎回違った竹細工の製作体験ができる取り組みも行っています。

一周回って表に出ましたが、外から見ても風情がある外観ですね。

この白い建造物はカフェとショップになっています。ぜひこちらも覗いていってください。

竹を眺めながらコーヒーが飲めるカフェ

すごいおしゃれですね。

もしかして窓からは竹林が見えるという設計なのでは!

そうなんです、カフェ席でふっと落ち着いた時に、ちょうど目線の位置に竹林が見えるように設計されています。竹を眺めながらコーヒーを召し上がってください。

竹製品のお土産が買えるミュージアムショップ

色々なお土産がありそうですね。

手軽なのものだと、お箸がおすすめです。竹の箸は先が細くつまみやすいので、“すべらない”箸という事で受験生へのプレゼントとして人気があります。

なるほど!

ピアスにイヤリング、どれも竹製で繊細な作りですね。

箸やアクセサリー、小ぶりな花籠が特に人気です。

竹を編むのも奥が深いんでしょうね。

基本の編み方は8種類あります。そこから200〜300ほどの編み方に発展していくんです。編み方によって、丸くなったり四角くなったり、つくれる形が変わってきます。

たくさんの竹細工を見られて、勉強になりました。

別府竹細工という伝統を守っていくためには、まず知っていただかなければいけません。そのためにこれからも頑張っていきます。

「別府市竹細工伝統産業会館」は竹細工の新たな魅力に気付ける場所でした

別府市竹細工伝統産業会館は伝統的工芸品である別府竹細工を後世へと引き継いでいくために、様々な角度から活動しています。

竹細工の歴史を学んだり、名工の技術を駆使した美しい作品を見学したりする中で、竹細工にすっかり魅了されました。

別府旅行の際はぜひプランに組み込んでみてください!

スペシャルワークショップは竹細工が初めての方でも参加していただけます。毎回違った内容になりますので詳細は最新情報をご確認ください。また、「竹鈴」「四海波花籠」は要予約となりますが、常時体験を行っていますので旅行で別府にいらっしゃる時にぜひ体験してみてください。

別府市竹細工伝統産業会館の施設情報

別府市竹細工伝統産業会館 公式サイト https://takezaikudensankaikan.jp/

営業時間

8:30~17:00(ショップ&カフェは16:30まで)

 

休館日

・毎週月曜日(但し月曜が祝日の場合は翌日)

・年末年始(12月29日~1月3日)

 

入館料

高校生以上 小中学生
個人
(団体料金20名様〜)
390円
(330円)
130円
(91円)

※団体での入館及び体験学習を希望される方は、事前予約をお願いいたします

 

アクセス:別府市東荘園8-3

・車

別府駅西口から約10分

 

・バス

JR別府駅東口→[亀の井バス25番鶴見病院経由・鉄輪線約10分]→竹細工伝産館前→別府市竹細工伝統産業会館

JR別府駅西口→「光の園前」下車→徒歩約10分

【2番竹の内経由・鉄輪線】【5番野口原経由・APU線】【7番野口原経由・別府リハビリ線】【41番サファリ線】

 

取材・執筆:KOH