豊島区立トキワ荘マンガミュージアム
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムは、手塚治虫を初めとするマンガ界の巨匠たちが青春の日々を過ごした伝説のアパートを再現したマンガミュージアムです。昭和20~30年代のトキワ荘を再現したエリアの他、マンガやアニメを次世代に継承し発信する拠点として企画展示等が行われています。
再現のこだわりがハンパじゃない!トキワ荘マンガミュージアムに行ってきた!
手塚治虫を初めとするマンガ界の巨匠たちが青春の日々を過ごした伝説のアパート「トキワ荘」を再現したマンガミュージアム「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」を取材!
目次
手塚治虫を初めとするマンガの巨匠たちが青春の日々を過ごした伝説のアパート「トキワ荘」。
1982年に惜しまれつつも取り壊されたトキワ荘でしたが、マンガ家たちが切磋琢磨した当時のトキワ荘を忠実に再現したミュージアム「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」として2020年に開館しました。
建物や看板は、姿かたちを忠実に再現したのはもちろん、昭和20年~30年代当時の経年劣化や汚れまで再現されています!
さらには当時住んでいたマンガ家たちの部屋まで再現。マンガ好きにはぜひ訪れて欲しいトキワ荘マンガミュージアムの魅力を、スタッフの小林さんにお話を伺いながらご紹介します。
サビや汚れも再現! 令和に蘇ったトキワ荘
トキワ荘といえば、手塚治虫先生をはじめ、石ノ森章太郎/藤子不二雄Ⓐ/藤子・F・不二雄など、マンガ界の巨匠たちが過ごし切磋琢磨したアパートとして有名ですが、こちらのトキワ荘マンガミュージアムはどのような施設になるのでしょうか?
トキワ荘マンガミュージアムは、トキワ荘を再現したマンガについて学べるミュージアムです。当時のマンガ家たちがどのような暮らしをしていたか紹介するとともに、期間限定の企画展なども行っています。
トキワ荘は藤子不二雄Ⓐ先生の作品『まんが道』で度々登場するので、今日は「あのトキワ荘に会える!」と楽しみにしていたのですが……
マンガで何度も見たあのトキワ荘が! いま目の前に……!
これはトキワ荘ファンにはたまらないですね……。しかし、なぜトキワ荘が令和になって再現されることになったのでしょうか?
地域の方から再現の要望をいただいたことがきっかけになっています。実際のトキワ荘は1982年に解体されてしまったのですが、地元の方から「トキワ荘を再現して欲しい」という陳情書が豊島区に提出され、2020年にトキワ荘を再現したトキワ荘マンガミュージアムが開館しました。
建物だけでなく、看板まで再現されていますね! しかしこの看板、よく見ると書体が左右で異なっていますが……?
実はトキワ荘の看板は時代によって変化しているんです。こちらの看板では、当時の写真を参考に2種の書体を再現しています。
異なった時代の看板を一度に楽しめるように再現されているとは、こだわりがすごい……。
そして先程から気になっていたのですがこの看板、設置されて2年とは思えない朽ちっぷりですね。
外壁や内装はあえて汚す演出を行い、使い込まれた風合いを再現しています。
文字がうっすら薄れて白くなってる具合とか、再現度が半端じゃなくて驚きました。
看板の横には、トキワ荘のマンガ家達が編集者に連絡するためによく使っていた電話ボックスも再現されています。
ドラえもんのひみつ道具「もしもボックス」にそっくりですね! 「もしもボックス」は当時の公衆電話がモデルだったのか……。
もちろん、トキワ荘も忠実に再現されています。
しかし、40年も前に解体されたアパートを再現するのはなかなか大変だったのではないでしょうか?
設計図が残っていなかったので、当時の写真やビデオ映像をみたり、実際にトキワ荘に入居されていたマンガ家に聞き取り調査を行い、一から図面を作成しました。
解体時のトキワ荘を近隣ビルの上層階から撮影した写真が当時の読売新聞に掲載されていたので、これは間取りや構造を知る上で貴重な資料となりましたね。
それにしても、令和に誕生した建物とは思えない程のやれ具合ですね。このサビなんかも、ほんとに錆びちゃってるわけじゃなくて、汚して再現しているんですよね?
トキワ荘の外観や内装は、多くのマンガ家たちが入居していた昭和20年~30年代を再現しています。築10年の使い込まれたトキワ荘を再現するため、看板と同じようにあえてサビや汚しを施しているんです。
トイレに炊事場まで! 当時のトキワ荘の生活をリアルに体験
トキワ荘は外装だけでなく、内装も再現されています。玄関に置かれている下駄箱も、当時トキワ荘あったものを再現しているんですよ。
そしてこちらの木造階段は、ギシギシと鳴る音まで当時の姿を忠実に再現しました。
『まんが道』でも階段を登るシーンではギシギシという擬音がコマに書かれていましたが、それすらも再現しちゃってるんですね!
こちらは2階の廊下になります。
『ドラえもん』『忍者ハットリくん』『天才バカボン』『仮面ライダー』といったマンガ界のレジェント作品を生み出した巨匠たちが、こんな隣り合った部屋でマンガを描いていたなんて、いまでは信じられない……。
2階はフロア全体が当時のトキワ荘を再現した造りになっているので、このように当時のトイレも見られますよ。
便器の使い込まれた感まで律儀に再現されているので、ぜひそのリアルさを現地でご確認ください。
ちなみに、当時のトイレはくみ取り式だったので、用を足すと2階から1階へ土管を通って下のツボへ落ちる仕組みになっていました。トキワ荘の裏側には、2階のトイレから土管が通っている様子が見られますよ。当時は臭いがすごかったようです。
案内板に「臭いがきつく、目が痛くなるほどでした。」と書いてあるのをみて戦慄しています。
こちらは炊事場になります。トキワ荘の炊事場は共同で、洗面や洗濯もここで行われました。なかには流し台を風呂代わりに使う人もいたようです。
それにしても、カビたパンやラーメンの残り汁など、生活感がすごいですね……。
そして、このお椀とかコップの跡が机に付きまくる現象には、僕も悩まされています。
マンガ家たちが過ごした部屋を追体験!
トキワ荘マンガミュージアムでは、マンガ家たちが過ごした部屋も再現されています。部屋によっては室内に入ることも可能ですので、トキワ荘の部屋の大きさを体験できますよ!
いまは大先生となったマンガ界の巨匠たちも、はじめは4畳半の部屋で作品を作っていたと思うと、なんだか感慨深いです。
トキワ荘の部屋の天井には、このように木目がプリントされた板が使用されていました。実は当施設の天井は、残っていた実物の天井板をもとに当時の天井と同じ木目を再現しています。
そういえば、窓の外が絵になっていますが、窓は外に通じていないのですか?
当時のトキワ荘は木造だったのですが、当施設は鉄構造となっています。当時の木造の室内を忠実に再現するため、外壁の内側にもう一枚、内壁を設けているので、窓は外とつながっていない構造になっています。
まさかの木造じゃなかったんですね! 完全に騙されていました。
部屋によっては、当時入居していたマンガ家の部屋を再現した展示もあるので、ぜひご覧ください!
昭和の生活ぶりが見られて普通に楽しいので、マンガにあんまり興味のない方にもおすすめです!
貴重な展示が楽しめる企画展示室&マンガラウンジ
1階には、トキワ荘ゆかりのマンガや書籍を展示しているマンガラウンジや、マンガやアニメに関する展示・イベントを開催している企画展示室があります。
2階の再現エリアとはガラッと変わって、スタイリッシュな雰囲気ですね! このマンガラウンジの展示で、「ぜひ見てもらいたい!」というイチオシの展示物はありますか?
手塚治虫先生のサインが書かれたトキワ荘の天井板は、ぜひ見てもらいたいですね!
実はトキワ荘解体時に、手塚治虫先生はかつて自分が住んでいた14号室の天井板を、数枚はがしもらっていたんですね。
そのうちの一枚は、手塚治虫先生がサインとイラストを描いたうえでその現場に居合わせた新聞記者に手渡したのですが、マンガラウンジではその天井板が展示されています。
手塚治虫先生の生サイン&イラストだけでもめちゃくちゃレアなのに、それがトキワ荘の、手塚治虫先生が暮らした部屋の天井板に描かれているなんて、激レアなお宝展示品ですね!
残念ながら天井板は撮影禁止となっているので、現物をご覧になりたい方は、ぜひトキワ荘マンガミュージアムへお越しください!
「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」施設詳細
■公式サイト
https://tokiwasomm.jp/
■開館時間
午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
■休館日
毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
その他年末年始、展示替え期間
■入場料
特別企画展期間中は全館有料
■アクセス
<東京都豊島区南長崎3-9-22 南長崎花咲公園内>
・都営大江戸線「落合南長崎駅」A2出口より 徒歩5分
・西武池袋線「東長崎駅」南口より 徒歩10分
・西武池袋線「椎名町駅」南口より 徒歩15分
取材・執筆:シュゴウ