鉄道博物館

鉄道博物館「鉄道の作った日本の旅150年」開催!日本人の「旅」と「鉄道」との関わりを振り返る企画展

鉄道博物館にて、2022年7月23日(土)〜2023年1月30日(月)の期間、2期にわけて「鉄道の作った日本の旅150年」を開催。また、開催に合わせて鉄道博物館所蔵の貴重資料も特別公開されます。


鉄道博物館にて、2022年7月23日(土)〜2023年1月30日(月)の期間、2期にわけて「鉄道の作った日本の旅150年」は開催されます。

鉄道が開業する以前、陸路の移動は一部籠や馬によるもの以外は、徒歩によるものでした。しかし、1872(明治5)年の鉄道開業以来、徐々に鉄道をはじめとする乗り物による移動にシフトしていきます。

以来150年、人々の移動は鉄道とともにあり、観光旅行はもちろん、出征や復員、疎開、集団就職といった時代を反映した移動もありました。

本展では、こうした鉄道による長距離移動のすべてを「旅」ととらえ、日本人の「旅」と「鉄道」との関わりとその変遷の様子を、各時期のさまざまな出来事を取り上げながら振り返ります。

【前期の展示の紹介】7月23日(土)〜10月24日(月)

序章 鉄道開業前の旅

鉄道開業以前の、徒歩による旅の姿を江戸時代の様子を中心に紹介します。

Ⅰ.明治の旅

団体旅行のはしりとなった「回遊列車」明治時代

1872(明治5)年の鉄道開業により人々の行動範囲は大きく広がり、それまでは考えもつかなかった旅のスタイルが可能になります。

1912(明治45年)6月に新橋~下関間で運転を開始した最初の特別急行(特急)列車

初詣をはじめとする寺社参詣、団体旅行など新たな旅の形が生まれ、明治末には北海道から九州まで鉄道網が広がり、鉄道によって安全で快適な移動が可能になったことで、旅は広く大衆的なものになりました。

「鉄道唱歌」かるた「鉄道唱歌 」 の歌詞を記したもの

Ⅱ.大正、昭和初期の旅

特急「富士」の展望車 1930(昭和5)年

大正期に入ると旅はより多くの人々にとって身近なものになります。

昭和初期には鉄道網は全国津々浦々まで伸びて国内旅行は便利になり、近場の行楽地から海外の日本の勢力圏にいたるまで日本人の旅のエリアは広がりました。

1931(昭和6)年登場の3等寝台車

この時期には沿線案内図やポスター、駅スタンプなど旅客を誘致するための案内も盛んに発行されました。

国際的にはヨーロッパ各国への最速の移動手段として鉄道が機能し、外貨獲得のための外国人観光客の誘致も熱心に行われました。

ポスター「Beautiful Japan」吉田初三郎 画

Ⅲ.戦中・戦後の旅

2人掛けの座席に3人掛けが励行された戦時中の列車内

1937(昭和12)年の日中戦争の勃発により国内は戦時体制に入り、一般国民の旅は大きな制約を受けるようになります。

「鉄道は兵器」という位置づけのもと、軍事輸送のために貨物列車が増発されて旅客列車は大幅に削減され、出征や疎開など戦時体制下での輸送も行われました。

空襲被害を受けながらも鉄道は1日も休まずに動き続け、日本中の時が止まったと言われる1945(同20)年8月15日にも鉄道は動いていました。戦後は通常の輸送に加え復員、引揚、買い出し、さらに連合軍輸送も行われ、苦難をともなう旅が続きます。

東北本線列車運行図表(一ノ関~尻内間)

【後期の展示の紹介】10月29日(土)〜2023年1月30日(月)

Ⅳ.昭和後期の旅~1950・60年代~

修学旅行列車 「ひので」 運転開始1959(昭和34)年

戦後の混乱期もようやく落ち着きを見せた1949(昭和24)年、東京~大阪間に特急列車が復活し、この時期からようやく旅を楽しむゆとりが生まれます。

ヘッドマーク「ひので」

1950年代半ばには高度経済成長が始まって人々の暮らしが豊かになり、近場の行楽地から遠方の観光地まで、各所へと向かう旺盛な旅行需要が生まれます。

集団就職列車 上野に到着 1950年代

都市部への人口集中を背景とした地方からの集団就職列車の運転、就学人口の増加やベビーブーム世代の修学旅行需要に応えるため、修学旅行専用車両が登場して快適な旅が実現し、児童・生徒の思い出作りに大きな役割を果たしました。

均一周遊券1965(昭和40)年頃

Ⅴ.昭和後期の旅~1970・80年代~

大阪万博への観客で混雑する新大阪駅 1970(昭和45)年

1970(昭和45)年に大阪で開催された日本万国博覧会(大阪万博)は、会期中に約6400万人もの来場者を集め、その多くは東海道新幹線をはじめとする鉄道を利用し、旅が広く大衆化する大きなきっかけとなりました。

また、団体旅行よりも個人や家族での旅行が増え、男性中心だった旅行者も女性が急増するなど、旅のスタイルが大きく変わりだした時期でもありました。

ブルートレインの旅立ちの光景1974(昭和49)年9月

一方で、1970年代に発生した2度のオイルショックによって低成長時代に入り、国鉄運賃・料金の相次ぐ値上げに加え、自動車や航空機利用が一般化し、鉄道利用の旅行は減少へと向かいました。

Ⅵ.平成、そして今

500系のぞみ試乗会記念乗車票 1997(平成9)年

1987(昭和62)年4月に国鉄が分割民営化されてJRが発足し、JR各社は自社エリア内での旅客誘致に力を入れ、個性的な車両や列車を登場させます。

折からの好景気や週休二日制の定着もあり、鉄道による旅が見直されるようになり、上野~札幌間の寝台特急「北斗星」などが登場して話題となりました。

また、新幹線が各地へと伸び、各社による積極的な高速化への取り組みもあり、鉄道旅行の中心を占めるようになります。

その一方では、鉄道の特性を生かした旅として、インバウンドや高級志向の旅行者向けにクルージングトレインが運転され、さまざまな旅の形が生まれています。

日本海沿いを行くTRAIN SUITE 四季島 2017(平成29)年

珠玉の秘蔵資料特別公開

第1期展示 屏風「碓氷峠」 1893(明治26)年

本展の開催に合わせ、明治初期~半ばまでの鉄道に関する公文書である鉄道古文書(国指定重要文化財)をはじめ、普段あまり展示することのない鉄道博物館秘蔵の資料が、3週間ごとにテーマに分け、展示替えをしながら公開されます。

第1期は「人物と鉄道」をテーマに、7月23日(土)~8月12日(金)まで鉄道に関わった人物にまつわる資料を展示します。

詳しくは鉄道博物館ホームページ(https://www.railwaymuseum.jp/jp/)で順次お知らせされます。

「鉄道の作った日本の旅150年」開催概要

会期 2022年7月23日(土)〜2023年1月30日(月)
[前期]7月23日(土)〜10月24日(月)
[後期]10月29日(土)〜2023年1月30日(月)
会場 鉄道博物館本館2Fスペシャルギャラリー
入場料 無料
※鉄道博物館の入館料のみで楽しめます。
主催 鉄道博物館
後援 東日本旅客鉄道株式会社
さいたま市

【入館料(税込み)】
[前売料金(前日まで)]
一般 1,230円
小中高生 510円
幼児 210円

[当日料金]
一般 1,330円
小中高生 620円
幼児 310円

※幼児は3歳以上未就学児。
※入館の際は指定のコンビニエンスストアで販売する時間指定の「入館券」(枚数限定)の事前購入が必要です。なお、障害者手帳等、各種利用券等をお持ちの方は事前に入館券を購入する必要はありませんので、直接博物館へお越しください。

広報さんからのメッセージ

鉄道博物館では、鉄道開業150年を記念し、鉄道の開業、発展により、その姿を大きく変えてきた日本人の「旅」と「鉄道」との関わりを振り返る企画展を開催します。当館所蔵の貴重資料も特別公開いたしますので、ぜひこの機会にご覧ください。

※告知内容は新型コロナウイルス感染症拡大防止の事由等により予告なく変更、または中止となる場合がございます。

 

ライター:青井千夏

イベント情報

開催日
2022/07/23 ~ 2023/01/30
開催時間
10:00~17:00(最終入館16:30)※新型コロナウイルス感染防止のため
会場名
鉄道博物館
会場場所
埼玉県さいたま市大宮区大成町3丁目47
チケット
無料
※鉄道博物館の入館料のみで楽しめます。
※入館の際は指定のコンビニエンスストアで販売する時間指定の「入館券」(枚数限定)の事前購入が必要です。詳しくは施設公式HPをご確認ください。