神奈川県

鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム

鎌倉・鶴岡八幡宮の境内に位置する文化施設「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」。鎌倉の歴史や文化に気軽に触れることができる学びの施設であり、また四季折々の風景と融合した建築が心と体を癒してくれる人々の憩いの場でもあります。鎌倉に遊びに行く方は必見の施設です!!

鎌倉の歴史・文化・自然の織りなす魅力的な空間「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」に行ってみた

彼の有名なル・コルビュジエに師事した建築家・坂倉準三が設計した建築として知られる「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」を取材!実際にどんなところに魅力があるのか、学芸員の方にお話を伺いました!


「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」は鎌倉・鶴岡八幡宮の境内に位置する文化施設です。

都内からは電車で1時間ほど。

JR横須賀線・江ノ島電鉄線「鎌倉駅」から徒歩10分

建物は、20世紀建築の巨匠として有名なル・コルビュジエに師事した建築家・坂倉準三の名建築。

もともと日本初の公立近代美術館として1951年に開館した神奈川県立近代美術館の旧鎌倉館を継承したもので、神奈川県指定重要文化財(建造物)に指定されています。その後2019年6月、新しい使命をもった文化施設として開館し、202012月に国の重要文化財に指定され現在に至ります。

提供写真:鶴岡八幡宮

鶴岡八幡宮の境内に建っており、

段葛(だんかずら)

小町通りや段葛など、鎌倉を代表する観光スポットが数多くあります。

その立地を生かし、展示では鎌倉の歴史・文化・自然の魅力が紹介されています。

 

今回は、そんな1年を通して観光客で賑わう鎌倉の知られざる魅惑の空間「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」の魅力についてお話を伺いました!

 

最大の魅力は ”建築そのもの”

さっそくですが、「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」の最大の魅力はどういった点なのでしょうか?

最大の魅力は、”建物そのもの”だと思います。

回廊式の建物の中心にある中庭からは太陽の光が差し込み、上を見上げると四角く切り取られた空が開けます。

また、四方にある出入口からは風が通り、風の音や鳥の鳴き声が建物全体に優しく響きます。こういった自然と建物が融合している点は、坂倉準三の建築ならではの魅力なんです!

目でも耳でも癒される空間ですね。心が落ち着きます。

「中3階」

こちらの「中3階」と私たちが呼んでいるスペースは、独特なデザインが特徴的なので、本館の1階にあるミュージアムショップで販売している「手拭い」のデザインにもなっています。

たしかにおしゃれなデザインですね。手拭いになっているのも、この風景を持って帰れるようで良いですね!

他にも、ミュージアムショップには鎌倉や鶴岡八幡宮にちなんだ商品も多数ご用意しています。来館された際はぜひご覧下さい!鎌倉のお土産としてもおすすめです。

 

写真では伝わらない魅力

建物の中でも特に有名なのがこちらの「ピロティ」と呼ばれる場所です。

柱で支えられた2階部分が目の前の平家池に迫り出し、天井には光が反射して池の水面が映し出される幻想的な空間となっています。

四季折々の風景とともにゆったりとした時間を過ごしていただけます。私もお気に入りの場所です!

はあ〜。

何もせず、ぼーっとしているだけでも全く飽きない、写真だけではわからない魅力的な空間です!

あ、ちょうど鳥が来ていますね!たまにカワセミなんかも見ることができますよ。

まさに自然……!まるで絵画のようです!!

知らない方も多いのですが、こちらの「大谷石(おおやいし)」という資材が使われている外壁も魅力のひとつです。

建築当時、時代は戦後復興の時期で、費用を抑える工夫が必要でした。その為、当時安価な素材であった大谷石が選ばれ、それがモダニズムのデザインによって美しい建築として成り立つことが示されました。市松状にガラスブロックを配置し自然光を取り入れることで、モダニズム・自然が融合した空間を生み出しています。

予算をかけずに後世に残るような建築を生み出したという点も、坂倉準三の建築が評価される理由なんですね!

 

鶴岡八幡宮の境内に立地する特殊な環境

提供写真:鶴岡八幡宮

それにしても、神社の境内の中にある文化施設って結構珍しいですよね。なんだか敷居が高い感じがします。

いえいえ!鎌倉の中心とも言える「鶴岡八幡宮」の境内にあるからこそ、鎌倉の観光と共に楽しむことができるという他にはない魅力があると思います!例えば、

「鶴岡八幡宮」へお参りに訪れた際についでにフラッと寄っていただけるのはもちろん、

遊歩道

同じく境内にある池を囲む「遊歩道」や「神苑ぼたん庭園」のお散歩の休憩にピロティでゆったりとした時間を過ごすのもおすすめです。季節が違えば、また違った空気感と景色を楽しむこともできるので、ぜひ何度も足を運んでいただきたいです!

鶴岡八幡宮の境内に調和し、立地を生かした魅力的な施設になっているんですね!

展示室も他の大きな美術館とは違い、程よいスペースに程よい作品数をご用意していますし、ミュージアム カフェも併設していますので、美術館や博物館は疲れちゃう…という方でも構えずに気軽に楽しんでいただけるかと思います。

美術館や博物館に慣れている人もそうでない人も、それぞれの楽しみ方ができそうです!

段葛(だんかずら)

由比ヶ浜

また、駅からの道のりには、「段葛」などの観光名所もありますし、少し歩けば「由比ヶ浜」にも出ることができるので、長距離を移動せずとも朝から晩まで鎌倉の街を堪能できます。

観光地ならではの賑やかさと、境内ならではの自然に囲まれた静かで気持ちの良い空間、両方味わえるなんて最高!

 

共に歩んで “これから” を発信できる施設へ

建物自体は1951年からある施設ですが、なんだか全体的に綺麗で古い感じがしないですね。

改修工事で新たに設置されたエレベーター

そうなんです!「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」に生まれ変わるにあたって、バリアフリー・耐震対策などの改修工事を行い、施設としては安全基準はクリアしつつもデザインは当時の姿に復原されています。

リニューアルしてまだそこまで経ってないんですね…!

そうですね。まだ「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」になってから約2年ほどですね。

神奈川県立近代美術館の旧鎌倉館だった頃から多くの人に愛されてきた建物を大切にしつつ、鎌倉歴史・文化・自然、そして坂倉準三の代表作として価値のある建物をいかに知ってもらうか、試行錯誤しているところです。

今後の抱負などはありますか?

鶴岡八幡宮にも宝物殿や鎌倉国宝館などの文化施設があるので、そういったところと協力して展示を行なっていければと思います。

また神社の要素に偏ることなく鎌倉全体の歴史・文化・自然、そして ”これからのこと” を発信できる場所でありたいと思っています。

今は、コロナ禍でどこも大変な時ですが、「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」は風通しもよく感染対策もバッチリで安心なので、多くの方に足を運んでもらいたいですね!

はい!体温測定や館内の定期消毒、密を避けるための案内放送など、感染対策には力を入れています。

「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」は皆さんと共に歩んでいく”これから”の施設なので、是非より多くの方に足を運んでいただき、疲れた心と体を癒してくれるこの空間を実際に体感していただければと思います!!

 

「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」 施設詳細

「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」公式HPhttps://tsurugaokamuseum.jp/

営業時間

午前10時 ― 午後4時30分(入館は午後4時まで)

【休館日】月曜日(祝日の場合は翌平日)・展示替期間・年末年始

※開館時間は変更となる場合があります。 現在の展示 をご覧ください。

※休館日は天候の状況により変更になる場合がございます。 開館カレンダー をご覧ください。

利用料金

入館料は展示によって変わります。 現在の展示 をご覧ください。

アクセス

住所:〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53

【電車でお越しの方】JR横須賀線、江ノ島電鉄線「鎌倉駅」下車 徒歩10分

 

取材・執筆:せき かえで